裸になった女性の下半部に、何かが蠢(うごめ)いている

裸になった女性の下半部に、何かが蠢(うごめ)いている

売春地帯。「女の地獄」の生々しい現実は、覆い隠される。多くの男たちはそこに利用価値を見出しているので、誰もが見て見ぬ振りをしている。

それは地獄ではないと心から信じている男もいるが、女の選択権を奪っているのだから、支配者側に立っている人間の思考だ。

そして、「普通の女性」は関わりたくないという生存本能が働くので、知らないでいいのであれば知らないでおこうと無視を決め込む。

途上国の売春地帯の実態は、よほど覚悟した女性でないと直視できない。かくして、堕ちた女の世界は表社会からかき消され、底知れない漆黒(ブラック)な闇の中に落ちていく。

あなたは何がどう「おぞましい」のか知ることもできるが、知らない方がよかったと思うことも多いはずだ。

貧困に売られ、売春ビジネスの世界に堕ち、来る日も来る日も身体を開く女たちにとっての職業病は、性病、最近の言葉で言うところのSTD(性感染症)である。

場末に落ちれば落ちるほど女性のSTD感染率は高くなる。これにはいくつか原因が挙げられる。まず言えるのは、荒廃した安い売春宿そのものが衛生観念に欠けることだ。

ベッドは前の男たちの汗や体液で濡れていることはカンボジア・プノンペンの70ストリートやチキンファーム、あるいはインドネシア奥地の売春村、インドの売春ストリートでは珍しいことではない。

カビや精液や排泄物のニオイが充満した監獄のような部屋で娘たちは身体を開く。ベッドに小さな虫が這っていることもある。シーツを取り替える余裕もないのだろうか。

裸になった女性の下半部にも微細な虫がうごめいていることもある。ビンタン島の家屋の中にポンプ式の井戸がある珍しい置屋で、ひとりの女性がいた。

彼女が暮らしている窓もない小さな部屋に一緒に行って、彼女はそこで裸になった。荒廃した置屋の暗く粗末な部屋であった。

裸で横たわった彼女の下半身を見ると、陰部から太股に小さな虫が這い回っているのに気がついた。「虫がいる」と言うと、娘は……

(インターネットの闇で熱狂的に読み継がれてきた売春地帯の闇、電子書籍『ブラックアジア』。本編に収録できなかった「はぐれコンテンツ」を掲載。電子書籍にて全文をお読み下さい)

ブラックアジア外伝2
『ブラックアジア外伝2 売春地帯をさまよい歩いた日々(鈴木 傾城)』

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