以前、夜中にサンフランシスコのどこだったか忘れたが、駅の近くを歩いていたことがあった。
そこはロスに負け時劣らず昼間から荒んでいるのだが、夜になるとさらにひどくなって売春地帯と化す。しかし、歓楽街ではないのでタクシーも来ない。
駅ではトイレの入り口で白人の女性が服を脱ぎ散らかして下着姿のまま独り言を言っているような光景も見た。それを誰もが知らん顔をして通りすぎる。
そういった光景を見て、やっと悟る。私たちはハリウッドの映画を見て勝手にアメリカの豪華絢爛な華やかさを想像しているが、あれは「張りぼて」のセットで、現実はそうではなかったということを……。