ケイティ・パイパー。アシッド・アタックから立ち直った女性

ケイティ・パイパー。アシッド・アタックから立ち直った女性

閲覧注意
アシッド・アタックとは、人間の身体をドロドロに溶かす強酸を相手にぶちまけて苦しませるという卑劣で恐ろしい犯罪だ。主に女性が被害者になることが多い。

このアシッド・アタックの事件はブラックアジアでもシリーズとして、数多く取り上げている。(アシッド・アタックされた女性たち

インド圏、特にイスラム圏のパキスタンやバングラデシュではとても残酷なアシッド・アタックの事件が続いており、どんなに刑を厳しくしてもそれが減らない。

そればかりか、ファクラ・ヨーヌス事件のように加害者が無罪になってしまうような例もあった。状況は絶望的だ。(パキスタンでアシッド・アタックした男が無罪放免になった

アシッド・アタックは女性の顔面が狙われる。強酸によって、女性の顔面をドロドロに溶かして、女性の容姿を完全に崩壊させるのが目的である。加害者の男たちはこのように考えるのである。

「俺の言うことを聞かない女なんか、一生をめちゃくちゃにしてやる」

その顔面を破壊してしまえばいい

女性にとって美しくあること、そして美しく装うことは当然のことであり、それは女性の楽しみであり、女性の特権でもある。特に女性の「顔」にその美しさは集中する。

だから、自己中心的で、極悪で、悪魔のような復讐心を持った男の一部は、その女性の顔面を破壊することで復讐を遂げようとするのである。

女性の人生を台無しにして一生を苦痛に放り込むには、「その顔面を破壊してしまえばいい」と考えるおぞましい人間がいるのである。

はじめてアシッド・アタックされた女性のことを知ったのは、カンボジアの「タット・マリア事件」だった。(バイオレンス。カンボジアに渦巻く暴力の裏に何があるのか

その事件と、彼女の損壊された顔を見て、世の中にこれほどまでむごい事件があるのかと私はとても衝撃を受け、それからこのアシッド・アタックという残酷な事件をずっと追ってきた。

こんな残酷な事件は、ほんの少ししかないはずだと最初は思っていたが、それはとんでもない誤解だった。

アシッド・アタックはアジア圏だけで、年に数千件も起きている「ありふれた事件」だったのである。

実際、私もバングラデシュで被害に遭った人たちと知り合って来たが、自分の目で改めてその傷痕を見ると、恐ろしさに息が詰まった。

こんな事件は許せないし、耐えられないと私は思った。しかし、残酷な男たちは世界中のどこにでもいる。そして、信じられないのだが、アシッド・アタックという事件は認知されればされるほど、「増えていく」のである。

恐らく残虐な男たちは、テレビやインターネットや新聞等のメディアで知ったのだ。「そうなのか、女を破壊するにはアシッド・アタックすればいいのだ」と……。

かくして、アシッド・アタックという残虐きわまる犯罪は、世界中に解き放たれていく。

奇跡的に戻って来たケイティ・パイパー

イギリスのモデルにケイティ・パイパーという女性がいて、彼女もアシッド・アタックされたことをご存知の方もいるかもしれない。

アシッド・アタックされる前の、まだ金髪だった頃のケイティ・パイパー。表情にも溌剌とした若さに溢れている。

ケイティ・パイパーは、モデルの仕事をする傍らテレビの司会者としても知られていた。

しかし、2008年、彼女が24歳の時、ロンドンの路上を歩いているときに酸を投げつけられ、顔面全体に激しい損傷を受けた。元ボーイフレンドに雇われた男の仕業だった。

左ダニエル・リンチ。元ボーイフレンド。右ステファン・シルベルト実行犯。両容疑者とも逮捕されている。

10日間、昏睡状態の中にあったほどの重傷で、それは医療チームがそれまで見た中でも最悪のケースだったとも言う。

事故当時、彼女は自分を殺してくれと医療団に懇願し、苦しみの中で、自殺をするためにはどうすればいいのか、そればかり考えていたようだ。

呼吸も満足にできず、食べ物を取ることもできず、トイレにも行けず、人の声が聞こえると自分に襲いかかってきた男が戻ってきたと恐怖に震えたという。

その治療は困難なもので、18ヶ月間、23時間も特殊なマスクを着用して絶対安静にしていなければならないようなものであり、さらに何度も整形手術が必要になるものだった(整形手術は30回している)。



ほほえみと、愛と、ママになるという夢

その治療は未だに途上である。しかし、先進国の医療で献身的な治療が行われて、彼女は少しずつ容貌を取り戻しつつある。

彼女は引きこもることはせず、同じような被害に遭った人たちのために人生を捧げる努力をすることにしている。彼女は恐ろしい事件から、また奇跡的に戻って来た女性だ。

かつて金髪だった彼女は28歳になってブルネットに変えた。彼女は自分が別人になったと考え、そしてこう言う。

「私は昔のケイティの写真を取って見つめると、私って”彼女”のこと知ってると幸せな気持ちになるわ。そう、”彼女”は本当にかわいらしかった。でも、もう苦い気持ちはまったく感じない。古いケイティは去ってしまったのね、と私は”彼女”のために嘆いています。でも、私は新しいケイティも大好きなのよ」

アシッド・アタックを受けた女性が、すべてケイティ・パイパーのように最高の治療を受け、最高の笑みを取り戻して欲しいと私は切に思う。

女性たちがこのような目に遭って存在を消されてしまうことが私には耐えられない。

ケイティ・パイパーは「明日」とは何かをこう語る。

明日。それは、笑い、愛、ママになるという夢。



2012-05-23 20:31:31 9w7773s91
 本当に、本当に!憎ければひと思いに刺すなり高所から突き落すなりして殺してしまえばよいものを、ダ-クネスの方の油をかけられた中国の娘さんの事件やブラックアジアの記事で度々あがるアシッドアタック、拷問、強姦を含むなぶり殺し、私の中では「ひと思いの殺人」より邪悪ではるかに罪が重い!(すみません私、読後の現在、多少ヒステリー状態です。)たいへん不適切な比較ですが、動物(獲物)に対するサカハギがどれだけ狩猟世界でタブーとされているか思えば、いたずらに苦しめることがどれだけ邪悪で呪われるべき行いであることは人の作った法を待つまでもなくそもそも自然の掟に反している。呪われよ呪われよ、法律を超えて呪われるがいい!許せない!
男性だってそうですが女性にとってはとくに肌は重要なもの。顔面ならばなおさらです。ブツブツ、湿疹だけだってヒャーとなるんです。(太宰治の短編「女と皮膚」を思いだした・・・。)  aurore

2012-05-23 21:31:28 sta777592s
彼女の事は知っていました。
今もこの記事を読むと鳥肌が立ちます。
彼女の精神性に心が奮えるのだと思います。

男性が女性にこういった犯罪をする。
女性がしたとは聞いた事がないですよね。
確かに少数殺人はありますが
こうした根の深い感情というか
男性は弱い生き物だと思います。
こうした男性が少なくなるよう
教育が必要です。

何故女性ばかり犠牲者にならなければならないのか
腹が立つという感情よりも
理解に苦しむ。

髪色を変えた彼女の笑顔の美しさに
救われます。

2012-05-23 22:31:20 2v77s1uu0
おお!ケイティ、ものすごく頑張っていますね、顔も綺麗になってきているし。心から応援したいです(この件は以前から報道で知っていました)。ところでケイティに酸をぶっかけた犯人と元ボーイフレンドは捕まってちゃんと相応の刑を受けたのでしょうか?まさかイギリスまで法が正しく機能していないなんてことは、ないですよね?
でも良く考えてみたら、日本でも美空ひばりさんに硫酸を投げかけた事件とかあったのですよね。幸い日本ではこれほどひどい被害者はいないようですが。知っていたら教えてください。
2012-05-24 00:31:15 3w77s5755
犯人はもちろん逮捕されています。元ボーイフレンドと実行犯の写真も載せておきます。

(鈴木 傾城)

2012-05-24 00:31:09 77a77st5s9
これは、元ボーイフレンドにもアシッドアタックの刑が施行されるべき。施術無しで!!痛みを背負っていきてもらいたい。彼女が良い旦那様に恵まれ子供達と幸せに暮らしてほしいです。
2012-05-24 00:31:19 5ua77ss159
鈴木さん、元ボーイフレンドと実行犯の写真掲載、ありがとうございます。多少はほっとしました(実行犯の方がイケメンぽい・・)。
sta777592sさん、女性が女性に酸をかけた事件はありますよ。このサイトにも鈴木さんが掲載しましたが、カンボジアのタット・マリナの事件です。マリナを殴りつけ引きずり倒したのは主犯の女に雇われたボディガードかなんかですが、酸をかけたのは主犯の女性です。タット・マリナが不倫をしていた男の「奥さん」です。その後彼女らは行方をくらませましたが、主犯女性の夫は権力者だったのでその後はウヤムヤのようです。女でもアシッド・アタックの横行する国では加害者になる場合もたまにあるのです。ましてや権力者関係者では。
日本では不倫相手の子供を焼き殺した事件がありました。彼女は確か無期懲役になったと思います。民事では多額の慰謝料を払ったと思います(親が肩代わり)。不倫相手の男は彼女に何回か堕胎をさせています。結婚も匂わせました。受刑者の彼女は公立理系大学出身でまじめだったので男に免疫がなかったのでしょう。「見た目のいい」既婚者の男にずるずるとのめり込んでいきました。そんな中、全く離婚する気配などない男が許せなくなったのでしょう。
しかし愚かにもこの二人は社内のパソコンでも私的メールのやりとりをしていました。技術者としてプロのはずなのになんと無知なのだろう・・と思いました。私がこの事件に(被告女性側として)胸を痛めたのは、受刑者の彼女と同じ会社で同じような仕事をしていたからです・・。学生時代にそこそこ経験していた私は「会社関係の人とは絶対に関係を持たない」ということをポリシーとして仕事をしていました。彼女はあまりにウブだったとしか言えません。そして相手の既婚者の男には心底腹が立ちました。何も罪を問われずその後に子供も設けているからです。
2012-05-29 00:31:36 19as219u5t
「綺麗な顔を持っている(=俺の欲しいモノ)なのに、それを俺に与えないなんて許せない!!」ってことでしょうね。

扇情的な格好をしている高慢は女に暴力をふるうのと似た思考回路かと。

「性的なもの(俺の欲しいモノ)を提示しておきながら、それを俺に与えないなんて、許せない!!」

強奪(と破壊)=レイプ
破壊=アシッドアタック

でしょうか。

タット・マリナ、男が既婚者なのを知って、別れたい、と言ったら、この男は彼女を脅して関係を続けさせたらしいですね。
ほんとに、この男が死ねばいいのに。

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