黒い肌のルビー。一目惚れ、意気投合、一気呵成に結婚話

黒い肌のルビー。一目惚れ、意気投合、一気呵成に結婚話

まずいことになったとルビーを見てつくづく思った。一番まずいのは、彼女に一目惚れしてしまって、怒濤《どとう》のようなスピードで結婚の話まで進んでしまったことだった。

一目惚れ、意気投合、相思相愛、一気呵成《いっきかせい》の結婚話。おおよそ、あってはならない展開が目の前で進んでいた。

本当は、ここで優柔不断であることが一番問題をこじらすのは分かっている。ルビーから、離れて、二度と会わない選択をしなければならなかった。それなのに、何度も会うというミスを犯した。

彼女の魅力にどっぷりと浸かっていたので、優柔不断を継続してしまった。そして、彼女に「わたしは結婚できるかもしれない」と思わせてしまった。非常にまずい展開だった。

ルビー……。

彼女はフィリピン人というよりも黒人だった。フィリピン人と黒人のハーフというよりも、どこから見ても百パーセント黒人にしか思えなかった。その肌の色、その顔つき、その肉感。パーフェクト・ブラック。「白いフィリピン人」の対極にある娘、まさにブラック・フィリピーナだった。

アンヘレスのハイセンスなゴーゴーバーで踊っていた彼女は、ひときわ目立って美しかった。ルビーに魅力を感じ、思わず隣の席に座らせたいという誘惑を断ち切ることができなかった。一目惚れに近い感覚だった。

もし、彼女が日本を歩いていたら、恐らく誰もが黒人だと思い、フィリピン人と言っても通じなかっただろう。肉感的な身体つき、激しく踊っているわけでもないのに、明らかに違うリズムの取り方。どう見ても黒人そのものだった。

アジア人が肌を焼いて黒くしたような「褐色」ではなく、黒が冷めてブラウンになったというべき色だった。それが実に美しかった。ハイヒールに、オレンジのビキニ。蛍光色のオレンジがブラック・ボディーによく合っている。

彼女をひと目見た瞬間から、もう彼女しかなかった。それほど……

(インターネットの闇で熱狂的に読み継がれてきた売春地帯の闇、電子書籍『ブラックアジア フィリピン編』にて、全文をお読み下さい)

『ブラックアジア・フィリピン編 売春地帯をさまよい歩いた日々(鈴木 傾城)』

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