◆真夜中のムンバイ。路上生活者が静かに行う性行為の哀しさ

◆真夜中のムンバイ。路上生活者が静かに行う性行為の哀しさ

はじめてムンバイに入ったのは、真夜中だった。空港からタクシーで中心街に入る際、じっと外の光景を見ていたが、絶句するしかなかった。

(ここは戦争でもあったのか?)

くすんだバラック小屋。焚き火。道ばたで崩れ落ちるようにして眠っている莫大な人々の群れ。道路の片隅にうずくまって、じっとこちらを見つめる陰気な目。暗闇でゆらめいている真っ赤なサリー。

想像を超える貧困の光景に、言葉を失ってしまった。

目の前の光景は、本当に尋常ではない。まるで爆弾が投下され、死体が累々と重なった戦場を思い起こさせるほどの異様さがそこにあった。ムンバイの空港の周囲一帯は、インドでも最悪のスラムが取り囲んでいた。

数日後の真夜中、私はこのスラムを闇から闇へとさまよい歩いてみたが、やはり想像以上に貧困が極まっていた。

街はホームレスに占拠され、路上の端はテントハウスで埋まって歩くことはできない。テントハウスすら持たない人々は路上に突っ伏して寝ている。

バラック小屋でさえ、ここでは高級住宅地のようなものだった。テントハウスでもマシな部類だ。路上で多くの家族が、ただ一枚のゴザを敷いただけの道ばたで、そのまま寝ていたのである。

そして、中には闇の中でこっそりと抱き合っている中年の男女の姿も見た。ホームレスの夫婦だろう。ひとつのゴザを分け合ってまわりに荷物を置いて、その中で男女が服を着たまま静かに腰を動かしていた。

男の腰の動きに合わせて、女性の少し上げた脚がゆらゆらと揺れている。遠くで輝いているオレンジのナトリウム・ライトの街灯の薄陰の中で……

(インターネットの闇で熱狂的に読み継がれてきた売春地帯の闇、電子書籍『ブラックアジア インド・バングラデシュ編』にて、全文をお読み下さい)

『ブラックアジア・インド・バングラデシュ編 売春地帯をさまよい歩いた日々(鈴木 傾城)』

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