◆40度を超すコルカタで、生まれて初めて「太陽が憎い」と感じた

◆40度を超すコルカタで、生まれて初めて「太陽が憎い」と感じた

あなたは、太陽が憎いと思ったことがあるだろうか。私はある。インドで、生まれて初めて太陽が憎いと思った。熱帯の国が好きだったはずだが、インドで膨大な熱を放出する燃える赤い球体に文字通り、殺意を覚えた。

来る日も来る日も続くこの灼熱地獄に苦しめられていると、だんだん自分の中でどこか正常な感覚が壊れていく。身体の内部から熱くなって悶え苦しむ。

何しろ、真夏のコルカタの気温は簡単に40度を超す。

かつては湿原地帯だったコルカタの真夏は、この国を統治したイギリス人を何百人も病気にして死に追いやったが、確かにこの暑さでは死人が出ない方がどうかしている。

「死ぬほどの暑さ」というのはインドでは大げさな形容ではなく、本当に死人が続出するほどの暑さである。どこに逃げても、熱は執拗について回り、確実に人間の体力を奪っていく。

ときどき、街角の壁にもたれかかって身動きもしない人たちを見かけるが、その虚ろな目は生活の苦しさと同時に、この暑さに参ってしまったのもあるのかもしれない。

(早く昼間が終わってほしい。早く終わってくれ……)

誰もがそう叫んでいるようにも見えた。熱気から逃れられないのだ。狂ったような喧噪のコルカタを、この猛烈な暑さの中で歩き回ると、やがて疲れ果てて何もできなくなってしまう。

そうでなくてもコルカタは殺人的な人混みで疲れる街だ。

ここに来てしばらくすると、昼間のほとんどの時間を安宿のベッドで過ごし、太陽が落ちる瞬間をじっと待つようなライフスタイルになった。

しかし、その昼間の時間が長い。けだるく、退屈だ。信じられないほど巨大な太陽が、くすんで黒くなった建物の向こうに沈んで行くのを安宿の窓からじっと見ると、ああ、やっと昼が終わったという感想しかなかった。

よりによって取っていた部屋は、沈む夕陽のオレンジ色をした放射光と信じられない熱気が直接入ってくるような部屋だった。

ベッドに横になっているだけでも汗が次から次へと滴り、何もしていないのに熱気のせいで意識が朦朧として、とても身体を動かすどころではない。

熱い。暑い。猛烈に……

(インターネットの闇で熱狂的に読み継がれてきた売春地帯の闇、電子書籍『ブラックアジア インド・バングラデシュ編』にて、全文をお読み下さい)

『ブラックアジア・インド・バングラデシュ編 売春地帯をさまよい歩いた日々(鈴木 傾城)』

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