ブラジルの治安の悪さは今に始まったことではないが、まったく歯止めがかかっていない。
2002年、ブラジルは殺人件数で世界一位を記録して、警察当局も大都市のサンパウロやリオデジャネイロで犯罪の取り締まりを集中的に行ってきた。
麻薬掃討作戦も行われ、ファベーラと呼ばれる山にへばりついたスラムに巣くうギャングも壊滅させてきた。そのような努力の甲斐もあって、大都市では殺人件数が減っている。
ところが、地方になると逆に治安の悪化は拡大しており、2010年のブラジルの殺人事件での死者数は4万9932人で、30年前の3.6倍にも増えているという。
何が起きているのか。言うまでもなく、貧富の差の拡大と、その不満と、麻薬の蔓延である。そんなブラジルで、麻薬闘争で死んでいく男たちに混じって、若い女性もレイプされたり虐待されたりして殺されている。