フィリピンのアンヘレスで働く女性で、非常によくモテて人気だったダンサーがいた。
店に入ってしばらくすると、すぐに指名がつくような、まさに売れっ子を絵に描いたような女性だった。
あるとき、この女性と話す機会があって、もうかなり稼いだのではないかと聞いてみると、彼女は首を振って、「まったくお金が貯まらない」と嘆いた。
「私は兄弟が5人いるから……」
つまり、家族がみんな彼女の稼ぎをアテにしていて、彼女がどんなに稼いでもお金を貯めることができないというのである。父親も母親も働いていなかった。
ただ、彼女は嘆いているだけではなく、「家族は大切だから」と締めくくった。
核家族で家庭がバラバラになっていると言われている日本人から見ると実に優等生的な回答に聞こえるが、実はフィリピンではこういった「家族第一主義」は珍しいものではない。