中華料理が世界で最も親しまれている料理だというのは誰しもが認めるところだが、その理由は料理の多様性にある。
この多様性は、中国が「ひとつの国」「ひとつの民族」で成り立っているのではなく、多くの民族が寄せ集まって、それぞれの郷土料理が全部ミックスされたからでもある。
たとえば、中華料理の基本は「コメ」だが、同時に「麵」も重要な要素となっている。
コメ文化と、小麦文化が、ここで何の違和感もなく混じり合っている。
中国を大きく北部と南部に分けると、コメ文化が発達したのは南部であり、北部は気候的にコメが生産できずに、ヒエやアワに頼っている歴史が長かった。
そこに小麦が入ってきて、北部に麺文化が花開いたと言われている。
そして、このコメ文化と麺文化が分離して存在するのではなく、すべてが融合されてひとつの「中華料理」が出来上がった。