ストリート売春は、世界各国でいつも歴史の闇の中で行われており、それを記録する人は少ない。
当然、それは女性を不用意に写真に撮れないという事情もあれば、そういった歴史の恥部を残したくないという潜在意識もある。単に、「そんなもの」を歴史に残したところで仕方がないという意識もあるはずだ。
貧困層の女性が行う路上の売春ビジネスには、コマーシャリズムなものはほとんどない。
そのような女性を撮っても、「性的な気持ち」になる前に、むしろ哀れさや悲しさを感じることの方が多い。
「性的な気持ち」というのは、多少の作られたイメージと女性の演技のような表情と雰囲気が必要で、生活臭が漂っている女性のリアルな姿は、男たちをつらい現実に引き戻すばかりなのである。
中国の、ずいぶん昔に撮られたと思われる、ストリート売春をする女性たちの白黒写真を見て私が思ったのは、その「つらい現実に引き戻すばかり」の部分だった。