2013年12月15日。ノルウェーのオスロ市内で、背の高い20代半ばの不審な男性が警察に保護された。意識不明のまま雪の中で倒れており、ただちに病院に担ぎ込まれたのだが、この男は2日間に渡って昏睡状態が続いた。

病院内では、この不審人物に縛られた痕や、手首に傷があること、複数の薬物が注入された痕、そして性的暴行を受けた痕があることを確認した。

彼の衣服には身元を証明するものは何ひとつなく、行方不明者の照会をしても該当する人物はなかった。

やがて彼は長い昏睡の後に目を覚ました。警察が尋問を開始すると、警察はこの男の精神状態が奇妙な状況になっているのに気が付いた。

彼は自分が誰で、今まで何をしていて、どうして路上に倒れていたのか、まったく覚えていなかったのだ。しかし、彼には恐怖だけは残っていて、「誰かが自分を殺しに来る」という確信を持っているようだった。

ノルウェー人でないのは彼も認めた。しかし、彼は完全にアイデンティティを失っており、本来の国籍すらも不明だった。

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