タイの歓楽街では、多くの女性がイサーン(東北)地方から出てきて必死で働いている。田舎には仕事がない。農作業では一家が食べていくだけの現金収入が得られないことも多い。
だから、村に住む女性たちは現金収入を得るために都会に働きに出る。しかし、都会に出て仕事があったとしても、やはり食べていくだけの収入しか得られない。
そこで売春地帯に堕ちていく。
時には自分の生んだ子供を村に残して出稼ぎに出る若い母親も珍しくない。タイでは若くして子供を産んで、夫に逃げられたり、離婚したりする女性がとても多い。
生活の厳しさが若い夫婦にのしかかると、夫は耐えきれなくなって自暴自棄になるか、姿を消してしまう。牧歌的な田舎の光景とは裏腹に、生活が荒れている。
若い母親は、夫を失い、収入もないまま取り残され、やがて子供を祖父母に預けて都会に出て行く決意をする。そうするしか生きていけない極度の格差がタイにはある。