猥雑な雰囲気、堕ちた人間たち、アルコールとタバコの匂い、誰のものにもならない女、奔放なセックス、金と裏切りと少しの愛……。
真夜中に生きる女たちは、享楽的で、自滅的で、自由奔放で、世間の常識からも逸脱している。
そして、彼女たちは、貞操観念を押しつける宗教や保守的な人たちから嫌われ、理解されず、その直感的な生き方ゆえに社会からも嫌われ続ける。
そんな女性たちを見つめながら、私がいつも思い浮かべるのは、映画で描かれるフランスの小悪魔的な女性像だ。
イタリア映画は売春する女性を主人公にしても一途な愛の物語になり、フランス映画は素人の女性を主人公にしても自由奔放な性遍歴の物語になると言われていた。
確かに、フランス映画に出てくる女性像は、そんな印象がある。彼女たちはひとりの男に縛られず、しばしば同時並行で男と付き合って、男たちは決して彼女を縛らない。どこか不思議な雰囲気が、真夜中の世界と同じだ。