「樹木は、上に伸びれば伸びるほど、その根は地の深く深く潜っていく」という。これは、人間の二面性を示唆したものである。
犯罪者というのは、見るからに犯罪人のような顔をしている人間ばかりではない。次々と女性を殺していく男が、実は普段は「良き市民」であり「良き夫」であり「良き友人」であったという結末も多い。
奇抜な格好もせず、奇異な言動もせず、ボランティア活動などに精を出して、とても「良い人」を演出しながら、実は恐ろしいほどの冷酷な殺人鬼であったというケースは決して珍しくないのだ。
残虐な犯罪者と言っても、行き当たりばったりに人を殺す犯罪者ばかりではない。
巧妙に、計画的に、そして必要ともあれば長い間「潜伏」できる男もいる。そういった男が犯罪者であった場合、社会の闇の中で、被害がどんどん広がっていく。
こういった二面性を持った犯罪者で、すぐに思い出せるのが、アメリカの「グリム・スリーパー」と呼ばれる連続殺人鬼である。