ジンバブエの白人はジンバブエを支配していた。広大な土地を自分たちのものにして、そこで暮らしていた。
この国で圧倒的多数を占めていたはずの黒人は、立場的には奴隷であったとも言える。富のアクセスはすべて白人が掌握していたからだ。
これによってジンバブエの白人は恨まれ、政権を失うことになるのだが、その後2001年以降に起きたのは、ジンバブエの黒人たちが、白人たちの財産を暴力的に奪い取って行く動きだった。
「取られたものは取り返せ」という激しい恨みが黒人たちの中に渦巻いていたのだった。
当初、白人との融和を約束していたはずのロバート・ムガベ大統領も、宥和政策を反故にした。「恨み」に突き動かされた国の暴力は止まらない。行き着くところまで行ってしまう。
そうやって、融和政策を信じた白人は、暴力と殺人で追い立てられた。恨みの中で築き上げた資産をすべて取られてしまったのだ。しかし、この「恨み」によって今度は逆にジンバブエ国家そのものも崩壊していくことになった。