人類が「一夫一婦制」に収斂していくようになったのは、宗教や道徳や愛が原因ではないという英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズの研究発表が2016年4月12日にあった。
その説によると、人類が「一夫一婦制」を選択するようになったのは、「性感染症」を避けるためだったという。
かつて人類はあちこち相手構わず性行為に明け暮れる乱婚型だったのだが、やがて凄まじく性病が蔓延して「集団全体の繁殖率に悪影響を及ぼす」ことになった。
そのために乱婚の習慣が制限されるようになり、一夫一婦制のシステムが形成され、それが文化や宗教にも取り入れられたのではないかというのである。
かつて医学が未熟だった頃、様々な病気はウイルスや細菌によって引き起こされるという知識はなかった。しかし、古代人にも分かっていたことが1つだけあった。
それは「これらの病気は感染する」ということだ。
性感染症は古代から人類を苦しめ続けて来た。梅毒は15世紀から全世界に蔓延した病気なのだが、性行為をする相手が梅毒の症状を見せていたら、間違いなく自分に感染すると分かっていたのだ。
防止するにはどうするのか。相手構わず性行為をするのではなく、一夫一婦制を選択するしかなかった。