バブル期の1980年代後半からバブル崩壊以後も惰性でバブル的な雰囲気が残っていた1990年代前半までの10年間は、日本女性が最も金銭的に豊かだった時代だった。
金余りだったので、企業は従業員に給料やボーナスや一時金を惜しみなく支給した。高級品が飛ぶように売れ、若い女性は夜な夜なディスコに繰り出してお立ち台で下着をチラチラと見せながら踊り狂っていた。
そして、日本の若い女性たちは海外に出てリゾートを満喫するようになり、そこでリゾート限定のゆきずりのアバンチュールを楽しむようになっていた。
「リゾート・ラブ」、あるいはそれを略して「リゾラバ」と当時の女性たちは言った。
リゾートのアバンチュールを求める日本女性の行き先はインドネシアのバリ島である。バリ島のビーチには「ジゴロ」と呼ばれる男たちが待っており、恋とスリルとセックスに飢えた女性たちを優しく包む。
彼女たちはジゴロに金を与え、高級腕時計を与え、車を与え、場合によっては家すらも買ってあげる女性もいた。
バブル崩壊以後、日本女性は金を失い、やがては「リゾート・ラブ」も下火になって消えていった。しかし、「リゾート・ラブ」という女性のための性の開放は、別に日本女性のためだけにあったのではない。
本来は、欧米の女性たちのためにあったものだ。