バイアグラが勃起に関して凄まじい効力を発揮するというのは、今や男の中で知らない人間はひとりもいない。
50代や60代と言うと、もはや勃起できなくなる上に体力も失って、性行為から離れていく年代だった。
しかし、時代は変わった。バイアグラが爆発的に拡散していった1990年代からは、「終わったはず」の男たちが売春地帯に戻る光景が目立ち始めた。
タイの歓楽街でハイエナのようにうろつく男たちの年齢層が50代、60代になっていき、それにつれて女性の年代も30代、40代になっていったのは、今思うとバイアグラが成し遂げた変化だったのかもしれない。
若い男はどのみち金がないことが多いので売春地帯に沈没できる男はそういない。しかし、50代から60代の男たちは金もヒマもある。
かつては50代以上の男は金があっても勃起能力がおぼつかなくなっていたので自然と売春地帯から消えていったが、今ではバイアグラで何とでもできる。だから、1990年代以後、売春地帯は若さを失った男たちの天下となっていった。
しかし、バイアグラは万能ではない。老ハイエナたちには別の問題を抱えるようになった。それは何か。射精の問題である。