2017年2月6日。ひとりの日本人がカンボジアで逮捕されている。福井進(ふくい・すすむ)、52歳。この男は何をしたのか。この男のことをじっくり掘り下げたい。
この男は2016年8月からカンボジアで20代の女性7人に「日本のレストランで働けば月30万円から50万円は稼げる」と勧誘して、借金を背負わせて日本に渡航させ、そこで群馬県の風俗業者に売り飛ばしていた。
なぜ群馬県だったのか。そして、群馬県に何があったのか。
それを知るには、福井進が逮捕される2週間ほど前の2017年1月18日にカンボジア外務省が発表したひとつの報道を見れば分かりやすい。この日、カンボジア外務省はこのように発表していた。
「カンボジアの20代の女性7人が、11月に日本に人身売買されていた。そして、日本の群馬県内の風俗店のオーナーに売春を強要されていた」
「女性たちは脅され、給料の支払いもなかった。その中で女性のひとりがカンボジアの大使館のフェイスブックに助けを求めるコメントを残し、カンボジア大使館が動いて群馬県の風俗店に監禁されていたカンボジア女性を救い出した」
群馬県と言えば、人口が少なく高齢者の多い県である。彼女たちはそんな群馬県のどこにいたのか。