長野県建設業厚生年金基金に20年以上勤めていた、真面目なサラリーマン坂本芳信は、2003年頃から年金基金の管理をひとりで管理するようになっていた。

厚生年金基金とは、企業が独自に運用して運用益を持って退職する社員の年金にするためのものであり、ここにはサラリーマンの老後の資金になる元金が集まる。

坂本芳信はこの年金を、詐欺に関わったAIJ投資顧問株式会社のようなところに運営を任せた上に、自分はその他人の大切な年金基金を着服して遊び回るようになっていた。

2010年頃、横領がバレて坂本芳信は高飛びして消息を絶った。その後、調査すると23億8000万円あまりがなくなっていたのだった。

坂本芳信が年金基金の口座をどのように管理していたのかは分からない。運営損した金額、AIJに預けて吹っ飛ばした金額、着服した金額、すべて合わせて23億8000万円だった。

この男が2013年11月1日、潜伏先のタイで逮捕されていた。


坂本芳信は、本当に無能だった可能性も高い


真偽のほどは分からないが、消えた金のうち、この男が着服していたのは、たった6400万円だったと言われている。

ということは、23億円は坂本芳信が関与していない部分で、使途不明金となったということだ。

それだけ見ると本当はもっと大きな巨悪が裏に隠れていて、坂本芳信はただのトカゲのしっぽだった可能性もあるようにも見える。それは現時点でよく分からない。

しかし、本当に坂本芳信は「無能」すぎて、23億を吹っ飛ばした可能性も高い。

状況を見ると、坂本芳信がどうしようもない無能だったというのは間違いない事実に見える。何しろ、年金基金の運用には、AIJのような胡散臭い詐欺会社に運用を依頼している。

さらに、33億も運用しながら着服できたのが、たったの6400万円にしか過ぎない。その上、その6400万円も、たった3年できれいに使い果たしてしまっている。

どう見ても、致命的なミスを次から次へと引き起こす愚かな人間の典型だ。

それにしても、タイのような物価の安い国で、なぜ6400万円が3年でなくなってしまうのか?

横領がバレて2010年にタイに逃亡した坂本芳信は、いったいどのような金の使い方をしていたのか。

坂本芳信はバンコク市内のアパートに潜伏し、毎晩のように歓楽街で、売春女性を取っ替え引っ替えして遊び回っていたのだった。



タイで豪遊していたが、坂本芳信の豪遊を支えていたのは他人から盗み取った金だった。

まさに、「金の切れ目が縁の切れ目」だった


坂本芳信は、ある女性には600万円をプレゼントし、別の女性には150万円とブランド時計をプレゼントしたりして着服した金を豪勢に使っていた。

彼は日本語しか話さず、タイ語も覚えなければタイ料理も食べずにいた。だから、彼の愛人となった女性が面倒を見ていたのだという。

しかし、女性に数百万も気前よく渡していれば、6400万円などあっという間に消えてしまうのは当たり前だ。

持ち慣れない「物質」を持って女に溺れると、あっという間に消えてなくなってしまうのは以前にも紹介した。(イギリス下層階級の男が手に入れた「女性を狂わせる物質」

2013年に入った頃から坂本芳信は次第に金に窮することになったという。

そうすると、冷たいもので、彼にぞっこんだった愛人も離れていき、エアコンもない小さなアパートに引っ越しを余儀なくされた。

そして2013年10月に入ると、この男は本当に一文無しになっていた。食事すらも満足に取れなかったようだ。

10月31日、坂本芳信は「金がなくなった」と愛人に電話すると、愛人は「あとで電話して」といったん電話を切り、それからすぐに警察に電話して、坂本芳信という日本人が不法入国していると密告した。

"No Money, No Honey"
(金の切れ目が縁の切れ目)

まさにその言葉通り、坂本芳信は愛想が尽きた愛人に突き落とされて逮捕され、その逃亡劇は唐突に終了した。

もっとも、愛人に密告されなくても、異国タイで一文無しになったのだから、坂本芳信はどうすることもできなかったはずだ。

真面目に厚生年金を払ってきたサラリーマンの金を吹っ飛ばした上に着服して遊び回っていたのだから、この男には弁解の余地はない。

ひとりの愚かな男の人生は終わった。



6400万円を持ってタイに逃亡。3年でそれをすべて使い果たし、一文無しになって逮捕された坂本芳信。55歳。


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