女性が貧困に堕ちやすいのは、現在の社会システムが男に合わせて作られたものだからだ。

かつて「男女は必ず結婚し、男は社会で働き、女性は家庭を守る」という単一の価値感で社会が構成されていた。今でも、そうした価値感は色濃く残っているのかもしれない。

そのため、結婚せず、家庭を持たず、男性社会で働くことを余儀なくされている女性は、社会が想定している枠組みの中に収まっていないので、不利になる。どのように不利になるのか。

「女性は妊娠・出産したら家庭に籠もる必要があるので、休職させるよりも会社を辞めさせる」

「結婚して夫の給料で生活するのが前提なので、賃金は最初から男と差を付けて安くする」

「不意の結婚・妊娠・出産があっても、いつでも辞めさせることができるように非正規雇用で雇っておく」

このような条件が、暗黙の了解のように社会に定着しているのである。こうした社会は「改善されつつある」のだが、ここで改善が必要であるということは、相変わらず社会が変わっていないという逆説が成り立つ。


どこの会社もそんな本音を女性に言うことはない


グローバル化が推し進められるようになって、2000年代から男でも正社員で雇われなくなり、非正規雇用が爆発的に増えて収入も減って身分も不安定になった。

そのため、彼らは「結婚して妻を養い子供を育てる」という一般的な家庭を築くことができなくなり、リスク回避のために結婚を避けるようになっていった。

女性もまた「いつまでも男に養ってもらう必要はないし、自分は自由に生きる」というライフスタイルに憧れるようになり、結婚を避けた。

しかし、女性が20代を過ぎ30代に入る頃になると、一部の専門職以外は、想定しない現実に直面するようになっていく。派遣の仕事を続けるにしても、新しい仕事がうまく見つけられなくなっていくのである。

それは、別に女性が悪いわけではない。どこの国でも女性は「若い方から仕事が決まっていく」という現象がある。

同じ女性を雇うのであれば、従順で花がある若い女性の方が良いと面接官の多くは考える。ちなみに、面接官は「男」が行うことが多いわけで、意識していなくても性的な面でも無意識に若い女性を選ぶ確率が高い。

もちろん若い女性の方が「賃金を安く抑えられる」という現実的な面も含まれる。

そのため、女性が思い描いていた「シングルでの自由なライフスタイル」というのは、専門職ではない限り、歳を取れば取るほど難しくなっていく。

女性の場合は、30歳を過ぎれば正社員で会社に潜り込むのは、普通ではかなり難しいとも言われている。

30歳を過ぎれば、年齢的に結婚・妊娠・出産のリミットが近づくので、会社としてもいつ結婚・妊娠していなくなるか分からない女性を正社員で雇うというのはリスクなのである。

もちろん、どこの会社もそんな本音を女性に言うことはない。性差や年齢で差別しないというのが方針であると建前を言う。絶対に本音をつかませない。

しかし、社会全体が30歳を超えた女性をなかなか雇わないというのは、そういう理由があるというのは女性自身が気付いていることだ。

結婚してもしなくても、女性は苦境に堕ちやすい


女性は人間関係に敏感で、そのために細やかな気くばりをすることができるのだが、逆に人間関係がこじれると病気になったり鬱病になったりしやすい。

そのため、「人間関係が好ましくない」というのは大きな退職の理由となる。

そうやって退職しても、結婚していなければすぐに生活に支障が出てくるので新しい仕事を探すことになるのだが、年齢が上がれば上がるほど仕事が見付かりにくくなる。

結局、非正規雇用であっても仕事がないよりはマシなのでそれを選ぶのだが、確実に賃金は下がっていく。そのために生活水準を落とさざるを得ないのだが、それでも足りない分はカードローンでまかなう場面も出てくる。

そんな状態で病気になったりすると、すぐに借金が返せなくなっていくのだが、仮に借金をしなくても収入がないのだから貯金を取り崩したりして細々と生きるしかない。

それが「貧困」なのである。

では、20代で結婚した女性は全員が安泰なのかと言えばそうでもない。統計によると、3組のカップルのうち1組は離婚する。愛は長く続くとは限らないのである。

もし子供がいて離婚の際に子供を引き取ることになると、女性はシングルマザーとなる。

離婚しても元夫側にも養育の義務があるので養育費は送られ続けるのが普通なのだが、多くの場合、養育費は途中で払ってもらえなくなる。

すると、どうなるのか。

言うまでもなく、母親は子供を抱えて貧困に堕ちる。統計的にはシングルマザーの50%は貧困状態であると言われている。生活保護受給者も、高齢層の次に多いのがシングルマザーの受給者である。

経済的苦境に堕ちても、シングルマザーは子供を見捨てるわけにはいかないのでフルタイムの仕事はできない。パートタイムでも子供の都合に合わせて休むことになるので、収入は増えることがない。

女性たちにとってかなり厳しい時代になっている


今の社会で女性が経済的苦境に堕ちやすいのは、社会の枠組みが女性の生き方に合っていないからである。しかし、今の社会が劇的に変わることは考えられず、女性はこの仕組みの中で、今後も苦しみ続けるしかない。

女性を貧困に堕とす要因はいくつもある。そのどれもが「誰もが程度の差こそあれ持っているもの」である。大きなものを列挙すると以下のようなものになる。

(1)失業
(2)転職
(3)低賃金
(4)年齢
(5)心身の病気
(6)借金
(7)予期せぬ妊娠
(8)出産・子育て
(9)離婚
(10)介護

これらは、どれか1つでも我が身に降りかかると危険なものになる。そしてどれか1つでも起きると、今度はそれを起因として次々と連鎖的に別の問題が発生する。

負の連鎖が発生するのである。

そして、いったん負の連鎖に巻き込まれたら、そこから脱するのは並大抵のことではない。だから今、多くの女性が高給を稼げる売春ビジネスや風俗に目を向けており、実際にそんな世界に飛び込んでいく女性も多い。

しかし、アンダーグラウンドの世界は表社会以上に環境がハードで、向いている女性と向いていない女性がはっきりと分かれる世界である。

身体を売る気になったら、すぐに稼げるようになるとは決まっていない。それでも蟻地獄のように貧困に堕ちていく生活を断ち切りたいと、もがく女性がそこに飛び込んでいく。

女性たちにとってかなり厳しい時代になっているというのは、社会の裏側を見ると切実に分かってくる。

日本の女性たちは、本当に大丈夫なのだろうか。



今の社会は、どのように生きても経済苦境に堕ちやすい環境になっている。社会の枠組みが女性の生き方に合っていない。しかし、今の社会が劇的に変わることは考えられず、女性はこの仕組みの中で、今後も苦しみ続けるしかない。



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