バングラデシュ編
バングラデシュは旅するには、ハードな国だ。

アリチャ・ガットに向かう道すがら、大混雑のバスの窓際に座っていた私は、あまりの暑さと、息苦しさと、急ブレーキの連続で気分が悪くなり、嘔吐寸前まで達していた。

古い車体はよく揺れたし、バスの中は汗の臭いが充満していた。バスに乗り込むときは元気よく泣いていた赤ん坊も、今は猛烈な暑さにぐったりしてしまっている。

母親が濁ったペットボトルの水で赤ん坊の顔を湿らせて心配そうに我が子の顔を見つめていたが、それ以上は何をすることもできない。

バングラデシュはリキシャに占領された国だ。ありとあらゆる道に必死にリキシャを漕ぐ男の切ない姿が見える。

道を占有するリキシャを避けるため、バスはことあるごとに急ブレーキをかける。そのたびに乗客は足を踏ん張らなければならない。

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