新しい環境に移り、そこで長くいると、少しずつ人間の感受性は変わっていく。

たとえば、地方で暮らしていた人が都会で暮らし始めると、そこは同じ国でもまったく違う世界だから感受性が激変する。

考え方も変えれば、ファッションも変われば、食べ物も変われば、話し方も変わる。そういったものが微妙に積み重なっていくと、以前の自分とは違う「新しい自分」ができる。

場所が変わったら、人間は変わっていく。いや、仕事が変わっただけでも人間は変わる。新しい環境に身を置くというのは、「自分が変わる」ということになるのである。

面白いのは、自分では変わった自覚はほとんどないことだ。新しい世界に馴染もうと努力しているうちに、気が付けば以前とは微妙に違う自分になっている。

変わっていないと思っても変わっている。それに気付くのは、たまに「かつていた場所」に戻った時である。

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