「国際ロマンス詐欺」というものがある。最近、日本女性がこの手の詐欺に引っかかることが多くなって、「国際ロマンス詐欺サポート協会」というものも立ち上がっているという。(国際ロマンス詐欺サポート協会

詐欺師の多くは、ナイジェリアの詐欺集団であると言われている。ナイジェリアはインターネット詐欺の本拠地として世界各国に悪名を垂れ流している国だ。この実態を知らないのは日本人だけかもしれない。

ナイジェリアは貧しい国なのだが、この貧しさを克服するために政府当局は若者をIT技術者として食べて行けるように養成したという。

ところが、国内でのIT起業は設備的にも資金的にも難しく、さらに国外での就職も難しい現実が立ちはだかった。そのため、技術はあるのだが仕事はないナイジェリア人IT技術者が大量に余るようになった。

そこで彼らはこのIT技術と英語力を駆使して、全世界の女性に詐欺を働くビジネスをするようになっていく。それが成功するようになると、ナイジェリア国内でノウハウが蓄積された。

そして、「国際ロマンス詐欺」はナイジェリアの国内産業と化したのである。


「国際ロマンス詐欺」のターゲットは全世界の女性


「国際ロマンス詐欺」のターゲットは全世界の女性だ。欧米の女性も、南米の女性も、そしてアジアの女性も、みんな「国際ロマンス詐欺」の犠牲者になっている。

先進国の女性は最後に金を無心され、途上国の女性は最後に「荷物を受け取ってくれ」と言われてドラッグ売買の駒にされることが多い。このあたりは女性の金銭状況や知識に合わせて使い分けているようだ。

実際、まったく何も知らないで荷物を言われたとおりに運んだり受け取ったりして、ドラッグ密売で逮捕されている女性も続出して問題になっている。(今後、何も知らない日本女性が、麻薬の運び屋にされていく

本人は「ドラッグだと知らなかった」と訴えても、ドラッグの運び屋はみんな同じことを言うので問答無用に有罪だ。深刻なドラッグ禍に苦しんでいる東南アジアでは、ドラッグの密輸は無期懲役か死刑である。

詐欺師に騙された上に、自分が刑務所に入れられて無期懲役や死刑を宣告されるのだから、いかにナイジェリアの詐欺集団が女性に危険か、言うまでもない。

こうした女性をワナにかける詐欺ビジネスが、ナイジェリアの「産業」なのだから、もっとその存在は知られてもいい。彼らは英語圏では「ナイジェリアン・デーティング・スカム」と呼ばれている。

こうした詐欺師はフェイスブック等のSNSに潜んで、誰かが引っかかるのを待っている。

「国際ロマンス詐欺サポート協会」でも触れているのだが、軍人を装うことが最近は流行しているようだ。日本女性も、こうした「軍人」から友達申請のようなコンタクトを受けて付き合いを始めることが多い。

最初、SNSの相手の「彼」は、とても誠実な人である。互いに家族のことや自分の近況を語り合ったり、悩みを打ち明けたり、励まし合ったりするうちに、恋愛感情が芽生えていく。



国際ロマンス詐欺の仕掛け人は軍人を装う。日本女性も、こうした「軍人」から友達申請のようなコンタクトを受けて付き合いを始めることが多いという。

女性が悪いわけではない。すべて「詐欺師」が悪い


やがて、彼はいろんな事情から「金が必要だ」と女性に言うようになる。

「病気になって金がいる」「逮捕されて保釈金がいる」「軍隊を辞めるのに金がいる」「トラブルから逃れるのに金がいる」「会いに行きたいが金がない」……。

急に金が必要になるその理由は様々なのだが、その多くは「近いうちに保険金が入るので必ず返す。その時はふたりで楽しく過ごそう」とか「このトラブルが落ち着けば結婚しよう」という文章が入るのだという。

「とにかく助けてくれ。今すぐ金がいる……」

女性が逡巡すると「信じてくれていないのか」と怒り出したり、「そんな冷たい人だったのか」となじったり、「本当なんだ」と泣き落としに出たり、ありとあらゆる手で女性に決断を迫るようになるという。

金額はそれぞれ違う。女性によって、それは30万円だったり100万円だったり250万円だったりするのだが、女性にとってどの金額も大金であるのは間違いない。

今までSNSやメールや時にはスカイプで信頼関係を育んできたので女性は男を信じる気持ちが強いのだが、「金が必要だ」という話になってやっと何かがおかしいと気付く。

しかし、そうは言っても感情的にはもう引き返せないところにまで来ている。「何かおかしい」とは思いつつも、疑っては申し訳ないとか、彼を信じたいという気持ちもある。

自分が好きになった人が窮地に落ちて助けを求めているのに、それを拒絶することの罪悪感もある。「おかしい」と感じながらも、信じたいという気持ちが勝るのである。

会ったこともないのに、そしてしつこく金を要求されているのに、それでも信じたいという気持ちが捨てられないことに第三者は奇異に思うがそれが恋愛でもある。(誰にとっても、恋愛は命に関わるほど危険なものである

信じようとする女性が悪いわけではない。すべて信じさせようとする「詐欺師」が悪い。



アメリカの軍人が見知らぬ日本人女性に友達申請をして、馴れ馴れしく「ハニー」と言い出すだろうか。

見知らぬ軍人からの友達申請がきた時点で100%詐欺


言うまでもないが、詐欺師というのは見るからに怪しい素振りや態度でいるわけではない。むしろ、実に魅力的な人間として目の前に現れる。

詐欺師の仕事の99%は他人を騙すことではなく、信頼させることである。99%まで信頼させて、最後の1%で裏切って消えていくのである。

だから、詐欺師を見抜けると思ってはいけない。どんな種類の詐欺師であっても、私たちはそれを見抜くことができないと思った方がいい。もし見抜けるとすると、最後の段階に到達したときだ。

詐欺師には目的がある。必ず最後に要求がくる。SNSで女性をワナにかける「国際ロマンス詐欺」の場合は、その多くは「金を送ってくれ」というものだ。

だから、99%信じても、最後の1%で「金」を無心されるようになると、それは詐欺だということなのである。

SNSの向こうの「彼」をどんなに信じていても、どんなに誠実な相手だと考えていても、「金を送ってくれ」と言われた瞬間に、目を覚ます必要がある。

「それが目的だったのだ」と気付かなければならない。

「この人なら信じられる」という理想を装うのが詐欺師であり、だから詐欺に遭った被害者は相手が詐欺師であると分かっても、まだ「信じたい」という気持ちが心に残る。

だから「金」を要求されても、まだ信じたいという気持ちであるのは致し方がない。しかし、そこで一線を超えてしまうと自分が被害者になるだけだ。

「国際ロマンス詐欺」に騙され、金を送金してしまった場合、その金を取り戻すのは、ほとんど不可能であると言われている。そして、個人の力では相手を追いかけることもできない。騙されたら終わりなのだ。

「国際ロマンス詐欺サポート協会」によると、軍人、戦場ジャーナリスト、自営業の人間で、配偶者と死別、離別などのプロフィールの人間は、非常に怪しいアカウントであるということだ。

「見知らぬ軍人からの友達申請がきた時点で100%詐欺」と『国際ロマンス詐欺の卑劣な手口』の著者である新川てるえ氏は本書で述べている。



こうした男たちが白人のアメリカ軍人を装っている。女性をワナにかける詐欺ビジネスが、ナイジェリアの「産業」なのだから、もっとその存在は知られてもいい。彼らは英語圏では「ナイジェリアン・デーティング・スカム」と呼ばれている。



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