インターネットのオークションサイト、フリーマーケットサイトがいくつかある。その中で「メルカリ」という主にスマートフォンでアクセスするアプリがあって、若者を中心に人気があるという。

フリーマーケットなので、個人が持つ中古品や不要品を登録者が売ることができる。女性のユーザーも多く、着なくなった服や使わなくなったバッグや、子供服や化粧品や小物や、ありとあらゆるものが出品されている。

そこに、最近になって「現金」が売られるようになった。

運営会社が「利用規約でマネーロンダリングを禁止しており、それにつながる可能性がある」として、現行紙幣の出品を禁止するという騒ぎになった。

「現金」と言っても、旧紙幣だとか珍しい製造番号が付いている紙幣だとか、コレクターが求めているような紙幣ではない。そういった紙幣は紙幣としての価値よりも骨董品としての価値がある。

最近はほとんど流通していないと言われている2000円札などを大事に持っている人もいると思うが、なかなか見る機会がないものは稀少品として高値で買う人がいても不思議ではない。

しかし、メルカリで売られていたものはそうではない。


損をするのにそれを買う人とは、どんな人なのか?


出品者は「ごく普通の1万円」を、3枚3万6000円だとか、4枚を4万7300円などで売っていた。

普通の3万円を3万6000円で買えば、当然のことながら6000円損することになる。4万円を4万7300円で買えば7300円も損する。小学生でも「おかしい」と気付く計算だ。

わざわざ損するために、こんなものを落札する人間がいるというのが信じられないはずだ。常識的に考えれば、こんなものが売れるとも考えない。

ところが、それを買う人がいる。

運営元がこれを禁止するとどうなったのか。すると、今度はスイカのような電子マネーのカードを「2万円分を2万3500円」などで売り始めているという。

もちろん、これを買う人もいる。

それを買えば損すると分かっているのに、なぜそれを買おうとするのか。どのような人がこんなものを買っているのか。

それを買っている人は、ほぼ100%に近い確率で「借金で首が回らなくなった人」であると考えても間違いない。しかも、かなり深刻な借金地獄に堕ちている人だ。多重債務者である確率も高い。

なぜ、そんなことが分かるのかというと、こうした知恵はヤミ金の人間が債務者をハメるための知恵であり、普通の人間が気付くものではないからだ。

借金が返せず、ヤミ金に「金を作れ」と恫喝され、何が何でも現金を手に入れなければならない人が、3万円を3万6000円で買って、それを右から左にヤミ金に毟り取られている。

別にこれは今に始まったことではない。ヤミ金の人間たちは、昔から似たような手口で借金を抱えた人間をもっとひどい地獄に突き落としてきた。

今はインターネットに舞台を変えて同じことをしているということだ。メルカリというアプリは女性のユーザーも多いということは、女性の債務者がヤミ金に言われた通りにしている可能性もある。

借金を返すために借金をするという自転車操業


最近、坂口杏里という26歳の元女優がホストから3万円を脅し取ろうとして逮捕されるという事件があった。

この女性が転落したのはホストに湯水の如く金を使って借金が膨らみ、返せなくなったことに端を発しているというのはよく知られている。

金額の多寡はどうであれ、収入以上に使っていると、やがては金銭的に追い込まれていくことになる。有名だろうが無名だろうが関係ない。使う方が多ければ、手元に何も残らないのは子供でも知っている。

手元に金が残らなければ、家賃も光熱費も生活費も出せないので生活が破綻する。追い詰められた人は、もっと働いて収入を増やすか、生活を改めて困窮生活を耐えるか、誰かから金を借りるかするしかない。

ほとんどの人は収入は増やせないし、生活を変えることもできないので、借金をすることになる。

借金はまるで魔法のように自分の一時的な苦境を救ってくれる。何もなかったところに、突如として金が目の前に現れる。

しかしそれは誰かがくれたものではなく、「利息分を上乗せして返済しなければならない金」である。しかも返済期限は絶対に待ってくれない。

きちんと返せればいいのだが、返せないとどうなるのか。

踏み倒すと、差し押さえが為されたり、裁判を起こされたり、クレジットカードが作れなくなったり、ローンが組めなくなったりして現代社会で生きていけなくなってしまう。

そのため、追い込まれた人の少なからずの人が「他から借りて返す」という方法を取ることになる。つまり、借金を返すために借金をするという自転車操業に入り込む。

しかし、借金には15%程度の利息が付いているわけで、利息分だけ借金が膨らむ計算になる。元本が返せないのに利息が膨らむのだ。



借金はまるで魔法のように自分の一時的な苦境を救ってくれる。何もなかったところに、突如として金が目の前に現れる。しかしそれは誰かがくれたものではなく、「利息分を上乗せして返済しなければならない金」である。しかも返済期限は絶対に待ってくれない。

どん底に堕ちた人間を相手にしたあこぎなビジネス


借金が膨らんでいくとやがてカードを何枚も作ったり、消費者金融をあちこちハシゴしたりして、どんどん「借金のための借金」をせざるを得なくなる。

しかし、そうしているうちにリスクを感じた金融機関が金を貸してくれなくなる。さらに一度でも返済に失敗するとブラックリストに載せられて、すべての金融機関から締め出される。

返せと言われているのに、もはや自転車操業するためのカードも新規に作れないし、消費者金融からもシャットアウトされる。そこに出てくるのが「ヤミ金」である。

「ブラックリストに載って普通では貸してくれない」人も貸す。しかし利息は異様なまでに高く、さらに取り立ても厳しい。また負債者から何が何でも取り立てるために、あらゆる手口を使う。どんな手口なのか。

ヤミ金はブラックでも作れる審査の甘いカードをいくつか知っている。たとえば、欧米系やネットバンク系のカードはブラックの人間でも作れるとよく話題になっている。

負債者にこうしたところでカードを作らせて、そのカードで現金を作らせる。カードでキャッシングもできるようになるが、それ以外にどのようにするのか。そこにメルカリの「紙幣購入」という手段もあった。

クレジットカードでこうした「現金系」「電子マネー系」をどんどん落札させて、送られてきた現金はヤミ金が持っていき、負債者を使い捨てする。

「1万円3枚3万6000円」だと20%分の6000円を損するが、カードの所有者はヤミ金ではなく負債者なので、ヤミ金からしてみれば、そんなことは知ったことではない。

他にも高級時計やブランドバッグなどを落札させて、それを質屋に転売したり、中古品で買い取らせたりする昔ながらの方法もある。

ヤミ金は、そうやって作らせたカードを極限まで使い込んで、終われば負債者を切り捨てる。言ってみれば、タバコの吸い殻を拾って一口吸って捨てるみたいなものだ。

負債者はカード限度額まで使い込まれてそれがまた自分の借金になるのだが、そうやって骨の髄までしゃぶられていく。

メルカリなどの「1万円3枚3万6000円」などの出品は、こうしたどん底に堕ちた人間を相手にしたあこぎなビジネスだったのである。

これを落札する人がいるというのは、借金地獄でのたうち回っている人がいるということに他ならない。



ヤミ金は作らせたカードを極限まで使い込んで、終われば負債者を切り捨てる。負債者はカード限度額まで使い込まれてそれがまた自分の借金になるのだが、そうやって骨の髄までしゃぶられていく。



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