廃墟ビル前の道路には、よく見ると他にも女性が立っていて、道路には私をじっと見つめている男の姿もあった。

この男たちは何者なのだろうと思ったが、道路際にバイクが停まると男が寄って女性を呼び寄せるのを見てポン引きであることを理解した。

女性と一緒にトゥクトゥクに乗って、プノンペンの暗くなった夜の街を走らせる。プノンペンは夜になっても車やモトバイクやトゥクトゥクで埋め尽くされていて、相変わらず交通規則はめちゃくちゃだった。

プノンペンは右側通行なのだが、バイクは我関せずで両側から迫ってくるし、追い越しも急な路線変更も歩行者の道路横断も蛇行する車も何でもありだ。

日本大使館の安全情報を見ると、カンボジアの自動車数当たりの死亡事故発生件数は日本と比較して100倍も死亡事故が発生している計算になるという。

100倍と言えば尋常ではないのだが、カンボジアのこの道路事情を見ると誰もが1日で実感する。バイクは今も二人乗り三人乗りは当たり前で、ヘルメットもかぶらない。危険過ぎる。事故でも起こした日には間違いなく死ねる。

混乱した道路を走るトゥクトゥクの中で、私がふと隣に座っている女性を見ると彼女は相変わらず静かにしている。目が合うと、彼女の方から話しかけて来た。

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