アメリカ人ではない人間がアメリカで働くためには、ビザが必要だ。

アメリカでは10種類以上ものビザの種類があるのだが、その中で一般的なものと言えば「H-1Bビザ」である。日本語で言うところの「就労ビザ」は、だいたいこのビザを指している。

このビザはアメリカで「特殊技能職」に就くために必要とされているのだが、これはたとえばプログラマーやシステム・エンジニアやネットワーク管理者などを指す。

このビザは、シリコンバレーのハイテク企業で働くためには必須のものだ。マイクロソフトもアップルもグーグルもフェイスブックも、「H-1Bビザ」を持った多くの外国人プログラマーやSEに依存している。

このビザを取得するためには、「特定分野での学士が必要」であり、なおかつ「雇用主が必要」なので、申請すれば誰でも取れるものではない。

しかし、このビザで大量にアメリカに潜り込んでいる人種がいる。それがインド圏の人々である。インド人やパキスタン人が大量に「H-1Bビザ」を持ってシリコンバレーに潜り込んでいくのである。実は、ここに「裏」がある。


彼らの少なからずが経歴を粉飾しているという事実


シリコンバレーを支えているのは「インド人だ」とはよく言われる話だ。

すでにグーグルやマイクロソフトではトップがインド系アメリカ人であるのを見ても分かる通り、シリコンバレーは天才的なインド人で満ち溢れている。

しかし、シリコンバレーに大量に溢れるインド人は、本当に全員が天才的でかつ熟練した特殊技能の持ち主なのだろうか。実はそうではないというのがシリコンバレーで語られている。

彼らの少なからずが経歴(キャリア)を粉飾し、都合の良いように書き替えた偽の履歴でアメリカに入り込み、シリコンバレーに潜り込んでいる。

それを支えているのがインド人が経営する数百にのぼる派遣会社だ。

彼らはアメリカ人の弁護士を使い、このニセモノの履歴書を上げてくるインド人のほとんどを承認し、アメリカに連れてきて簡単な職業訓練を行ってシリコンバレーの各企業に人員を送り込んでいる。

もちろん、その中には天才的なスキルを持った希有な人物もいるのだが、そうでない人間も大量に混じっており玉石混交の状態である。

実はアメリカのハイテク企業の多くはそういった実態を知っていて、インド系の派遣業者から大量にインド人プログラマーを雇い入れたり、アウトソーシングに出したりしている。

なぜか。ハイテク企業はこうした外国人労働者を「非常に安い賃金で働かせることができる」からだ。建前では「優秀だから」と言って、本音の「安いから」を隠しているのだ。

ハイテク企業がアメリカ人プログラマーとインド人プログラマーを雇うとしたら、インド人プログラマーを雇う理由はそこにある。

インド人が優秀だからというよりも、インド人を雇った方がコスト削減になるからだったのだ。

ハイテク企業の「ビザの審査見直し反対」の裏側


2017年4月18日、ドナルド・トランプ大統領はウィスコンシン州での演説で、「米国人を雇う約束を守るために力強い措置を取る」と宣言し、そのための方法として「H-1Bビザの審査を厳格化する」と言った。

さらにこの演説の後に、ビザの審査見直しなどに関する大統領令に署名している。

「H-1Bビザの審査を厳格化する」と大統領が宣言しなければならないということは、その裏でH-1Bビザの厳格化が為されておらず、むしろ悪用されているということに気付かなければならない。

そして、H-1Bビザ厳格化こそが「米国人を雇う約束を守る方法」であると理由づけられている意味も知らなければならない。

今、アメリカの裏側で起きている現状を憂うトランプ大統領の言動を分かりやすく言うと、このようになる。

「外国人がニセモノの履歴でどんどんビザを取ってアメリカに入って低賃金で働くようになり、アメリカ人の雇用が消えてしまった。だから、ビザを厳格化する」

当然のことだが、ハイテク企業のほぼすべてはトランプ大統領のこの措置には激しく反対している。民主党だけでなく共和党の議員に対してもトランプ大統領に反対するようにロビー活動を行っている。

トランプ大統領に激しく抗議している急先鋒はアップル社のCEOであるティム・クックだが、もちろんマイクロソフト、グーグル、アマゾン、フェイスブックと言ったアメリカを代表する巨大企業のすべてはトランプ大統領の政策に反対の声を上げている。

「優秀な人間を締め出すことになる」とティム・クックは言うのだが、もちろんそれは反対理由のひとつであり、裏側の事情は語られていない。

裏側の事情というのは、「安くこき使えるプログラマーが減る」というものである。

こうしたハイテク企業は、今や全世界を独占する多国籍企業の代表とも言えるが、多国籍企業は常にコスト削減のために安い人員を必要としている。

シリコンバレーの巨大多国籍企業が望んでいること


トランプ大統領は、H-1Bビザの問題点を把握しているので、以下の2つを実行すると明言している。

「H-1Bビザの保有者の賃金を上げる」
「身元調査を厳格化する」

この2つは、よくよく考えてみれば、ハイテク企業にとっては悪いことではないはずだ。

なぜなら、この措置によって彼らの言うところの「優秀な人間」が相応しい賃金で働けるようになるのである。「優秀な人材の雇用を守れ」というのであれば、これはハイテク企業が自ら提言しなければならないものだった。

もちろん、シリコンバレーは本音ではそれを望んでいない。

シリコンバレーの巨大多国籍企業が望んでいるのは、言うまでもなく低賃金で働いてくれる大量の労働者だからだ。

「大量の格安プログラマーを使い捨て」するためには、H-1Bビザの保有者の賃金を上げられても困るし、身元調査を厳格化されても困ることになる。

「優秀な外国人がアメリカのハイテク産業を支えている」というのは表向きの建前である。騙されてはいけない。本音は「安い賃金で働く外国人がアメリカのハイテク産業を支えている」の方である。

多くの多国籍企業のホームグラウンドはアメリカだが、アメリカだからアメリカ人を雇いたいわけではない。多国籍企業は利益を上げるためには、国籍や経歴に関係なく安く働く労働者を求めている。

だから、資本主義の総本山であるアメリカで、国民の3分の1が貧困層か貧困予備軍という超格差社会が生み出された。

アメリカ企業がアメリカ人を雇わず安い低賃金の外国人を選んで働かせているから、4600万人以上のアメリカ人が貧困層と化したのである。

そうやって多国籍企業が吸い上げた富は企業の利益となって、今やアメリカの株式市場は空前の高値に上り詰めている。そしてこの富を多国籍企業の株主が独り占めして富を独占する。

このいびつな社会のどす黒さを、あなたは理解して資本主義を生きなければならない。



2017年4月18日、ドナルド・トランプ大統領はウィスコンシン州での演説で、「米国人を雇う約束を守るために力強い措置を取る」と宣言し、そのための方法として「H-1Bビザの審査を厳格化する」と言った。



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