ここ数年、医学界が強く懸念していることがあるという。それは次のような事態だ。

「もはや既存の抗生物質が効かなくなる」

世界初の抗生物質は「ペニシリン」だが、このペニシリンが世界に行き届くようになったのが1942年以降だ。

それまでは、破傷風も、肺炎も、赤痢も、チフスも、淋病も、梅毒も、治らない病気だったが、これがペニシリンで治るようになった。まさにペニシリンは奇跡の薬だった。

さらにストレプトマイシンが発見されてからは、結核も治るようになった。抗生物質は、人類を苦しめていた多くの病気を根治させた。

私たちが健康に生きられるのは、抗生物質があるからであり、もし人類が未だ抗生物質を発見していなければ、私たちの寿命はそれこそ50年もなかったかもしれない。

ところが今、「あと30年もしたら抗生物質が効かなくなる細菌が蔓延するかもしれない」というのである。今まで治ったはずの、淋病も、梅毒も、また治らない病気になっていく。


抗生物質が効かない性病はすでに出現している


もちろん、確実にそうなるわけではない。奇跡的に何らかの新薬が開発されて人類は再び病原菌に対して勝利するかもしれない。抗生物質とは違うメカニズムで治療が可能になるかもしれない。

しかし、今のままでは人類が負ける時が来る可能性が近づいている。新しい抗生物質が開発されるより、細菌が進化する方が早いのである。

抗生物質が効かなくなっている理由は、はっきりしている。

全世界で、多くの医者が中途半端な抗生物質の使い方をしたり、患者が根治しないまま治療を途中で止めて、菌が生き残って抗生物質に対して抵抗力を持つようになったのだ。

それも、1つの抗生物質だけでなく、様々な抗生物質に耐性を持つようになった。こういった菌を「多剤耐性菌」と呼ぶようになった。

多剤耐性菌は毎年毎年、世界中のあちこちで発見されている。

2009年には、インドで治療を受けた多くの外国人が多剤耐性菌に感染したまま自国に戻って問題になった。欧米ではインドで安く治療を受ける医療ツアーが流行しているのが、それが裏目に出た。

日本でも抗生物質が効かない淋菌が2010年に見つかったりしている。いわゆる「スーパー淋菌」である。デリヘル嬢の女性が保持していた。

これは2014年に入ってイギリスで猛スピードで蔓延するようになり、2016年8月30日になるとWHO(世界保健機関)は、こうしたスーパー淋菌に対しては抗生物質を推奨しないというガイドラインを出した。

「抗生物質が効かない性病」は、いつか出現するのではなく、もうすでに出現しているのだ。



人類を様々な病気から救い出した「奇跡の薬」、ペニシリン。すでにこの抗生物質は淋病にも梅毒にも効かなくなっている。

「治療することはできません」と言われるのか?


現在の淋病や梅毒は、もうすでにペニシリンでは効かなくなってしまっているが、これは長い時間をかけて生き残った菌が耐性を持ったからである。

だから、現在使われている抗生物質のすべてに耐性を持った「スーパーバグ」が世界のどこかで生まれて拡散した瞬間、人類は病気を治せなくなってしまう。

人類の総人口はもう70億人を超えた。しかし、これで頭打ちになったわけではなく、これからもどんどん増えていく。

もっともこの人口増加は、基本的に現代の環境がそのまま維持できればの話だ。何らかの環境の変化が起きて医療がそれに対応できなかった場合、人類は一気に死滅する可能性もある。

イギリス政府は、このままスーパーバグがすべての抗生物質を克服するようになると、「2050年にはスーパーバグで3秒に1人が死ぬことになる」と警鐘を鳴らしている。

環境の変化と言うと、私たちは地球温暖化で食料が取れなくなったとか、大地震・大災害が襲いかかって未曾有の被害を出したというような想像をする。

しかし、もしかしたら抗生物質が効かないスーパーバグがパンデミックを引き起こし、人類を絶滅に追いやって行くかもしれない。

「あなたの病気はスーパーバグが引き起こしているので、治療することはできません」

そのように言われるかもしれないのだ。

スーパーバグと言ってもいくつかの細菌だけなのだから、それらに気をつければいいのではないかと思うが、そういう単純な話ではない。

問題は、パンデミックを引き起こす多剤耐性菌が生まれると、他の菌まで多剤耐性菌になってしまうということだ。

いくつかの異なる菌が、多剤耐性の遺伝子(プラスミド)を共有するというしくみを作っているからである。いずれは多剤耐性菌が爆発的に流行して、抗生物質が完全に役に立たない時が来る。

かつての私たちが知っている多くの抗生物質は、もうことごとく敗れている。



淋病は治る病気ではなくなる可能性がある。イギリス政府は、このままスーパーバグがすべての抗生物質を克服するようになると、「2050年にはスーパーバグで3秒に1人が死ぬことになる」と警鐘を鳴らしている。

このままでは、日本の風俗業界もパニックになる


もし、人類があるとき抗生物質という武器を失った時、時代は1940年以前に戻る。

破傷風も、肺炎も、赤痢も、チフスも、淋病も、梅毒も、結核も、すべてが多剤耐性菌として、また治らない病気になっていく可能性がある。

スーパー淋菌が出てきたように、スーパー破傷風も、スーパー肺炎も、スーパー赤痢も、ありとあらゆる病気が凶悪化していくかもしれない。

本当にそうなったとき、何が予測されるのか。

たとえば、売春地帯には「治らない性病」が蔓延して悲惨なことになるのは想像できる。感染症に最も移されやすいのは性産業で仕事をしている女性たちである。

その女性が自分が感染したことに気付かないままビジネスをしていると、次々と男たちを感染させることになる。その男たちがまた違う女性を感染させる。

一度、売春地帯がそうなったとき、そこから一般家庭や恋人たちに広がって行くから、かなりの悲劇が生まれることになる。それこそ生命に関わる悲劇である。

抗生物質では治せないスーパー淋菌は日本の風俗店から発見されているのだが、それを見ても分かる通り、日本人もまったく他人事ではない。

他人事どころか、当事者になる可能性も高い。若い女性の間で梅毒がどんどん拡大しているのだが、マスコミはほとんどこれを報道しない。

中国人が風俗の女性たちを「爆買い」するようになってからそうなっていることも報道しない。(日本女性の梅毒感染。梅毒をばらまいているのは誰なのか

この梅毒がスーパー梅毒になったら、日本の風俗業界はパニックになるだろう。

スーパーバグの蔓延はこれから必ず起きることであり、何らかの対策が取られない限り、それは避けられない。下手したら、3秒に1人を殺す細菌が性産業の女性を皆殺しにする悪夢のような世界も生まれるかもしれない。

もし、スーパーバグが尋常ではない広がりを見せるようになったら、性産業と乱脈なセックスはHIV/エイズが蔓延していた以上のリスクとなる。



HIV/エイズは性産業に関わる女性や男たちを恐怖のどん底に突き落とした。もし、スーパーバグが尋常ではない広がりを見せるようになったら、性産業と乱脈なセックスはHIV/エイズが蔓延していた以上のリスクとなる。



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