世の中が安定しているとき、あるいは景気がどんどん良くなって人々が幸せな状態にいるとき、最も強いのは資産を持つ人である。

なぜなら、世の中が安定すると資産は配当を生み出し、あるいは投資が利益を生み出すからだ。資産があれば贅沢もできるし、良い環境で暮らすこともできるし、良い教育も医療も受けることができる。

安定した国で資産を持つ人間は最強だ。

しかし、自国の経済情勢が悪化し、自分を取り巻く社会が混乱し、愛する祖国が衰退や破綻に向かうようになると、持っている資産は見る見る減少していく。

資産は何も生み出さなくなり、今の生活水準も維持できなくなる。混乱が続くと、失意の中でダウングレードを強いられ、自信も喪失していく。

戦争や、突発的な金融危機や、国家の債務不履行や、強度の不景気(大恐慌)が起きて社会が崩壊したとき、ビルから飛び降りたり首を括ったりする人は「資産を失った人」である。

多くの人にとって地道にコツコツと築き上げた資産は命の次に大切なものなのだが、それを失うというのは強烈なショックであり、深い絶望である。だから、すべてを失った人は生きる希望も失い、自ら死を選ぶようなことになる。

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