2017年9月15日、国連は2016年から世界の飢餓人口が再び増加していると報告している。現在、飢餓人口は約8億1500万人であると言われているのだが、これは全人口の約11%に当たる人口だ。

東南アジアでは飢餓人口が減っているのだが、南アジア、中東、アフリカ大陸では依然として飢餓人口が多いままで推移している。全人口の約11%が生存ギリギリなのだ。

この飢餓人口は、紛争・災害・世界経済の善し悪しですぐに1億人単位で変わってくる数字である。

たとえばリーマン・ショックの翌年である2009年は飢餓人口が10億人を突破していたが、この年は人口増加と天候不順に金融危機が重なって飢餓人口が拡大した年でもあった。

2009年の10億人という飢餓人口は最高水準だった。貧困国の飢えは絶望的なものがあるが、その飢餓が先進国の人口にも生まれていたのが特徴的だった。

先進国の人間が飢餓に陥るのは、もちろん貧困に落ちるからである。貧困に落ちる最大の原因は失業である。失業問題は世の中がグローバル化してより深刻化している。

単純に言えば、今まで先進国の労働者がやっていた単純労働などは、貧困国の労働者が安い価格でするので、先進国の労働者は仕事が見つからなくなってしまったのである。


社会が不安定になり、予期せぬ出来事が起きている


2017年に登場したドナルド・トランプ大統領は、グローバル化に真っ向から反対して「米国第一」を掲げ、アメリカに仕事を戻そうとしている。

しかし、多国籍企業はコスト削減によって莫大な利益を計上できるグローバル化を明確に支持しており、トランプ大統領以後は再びグローバル化推進の社会に戻る可能性が高い。

そのため、先進国の失業問題はこれからもずっと続く。

先進国の労働者と、貧困国の労働者の賃金が同じになるまでそれは止まらない。だから、飢餓人口の増加は先進国でも関係のない話ではない。

日本でも貧困に陥って電気・ガス・水道のような大事なインフラをすべて止められて、ひっそりと餓死していく人たちの存在が珍しくなくなった。

いつの間にか、孤独死・貧困死が日本にも定着していたのである。今後は消費増税、福祉の削減、年金の削減、受給の延長も少しずつ取り入れられていくので、ギリギリで生きている人はより困窮の度を深めていく。

政府や日銀はインフレを望んでいるので、やがてはインフレもどこかの段階で起きてくる。

資産を持っている人は、株式や不動産やゴールドでインフレをヘッジすることができるが、現金しか持たない人はインフレが進めば進むほど生活苦が進む。

それが、今の絶望的な格差と社会不安をより深刻化させていくことになる。

これは日本人だけの問題ではない。ほとんどすべての国はグローバル化を取り入れているので、どこの国も国内の貧困と格差の拡大に直面して解決できないでいる。

格差が広がると低所得層が既存の政治家に激しい怒りや不満を持つようになり、社会が不安定化し、予期せぬ出来事がいつでも起こり得る状態になる。

2016年のイギリスのEU脱退やドナルド・トランプ大統領の登場と言った予想外は、こうした中で起きてきた。



格差が広がると低所得層が既存の政治家に激しい怒りや不満を持つようになり、社会が不安定化し、予期せぬ出来事がいつでも起こり得る状態になる。2016年のイギリスのEU脱退やドナルド・トランプ大統領の登場と言った予想外は、こうした中で起きてきた。

問題が分かっていても、止められないのが現実だ


注意しなければならないことがある。それは、グローバル化によって、社会不安が起きるというのは確実であるにも関わらず、それは「避けることができない未来」であるということだ。

予測できているから避けられるというわけではない。むしろ、予測できていても為す術もなく巻き込まれていく。

グローバル化は先進国の労働者から仕事を奪い、やがては労働者の賃金を低下させたり失業問題を引き起こしたり貧困を生み出すことになるというのは予測できなかったことなのか。

いや、そうなると最初から予測されていた。しかし、誰も止められなかったから今の惨状がある。

予測できていたのに避けられなかったという例で言えば、たとえば日本の超少子高齢化も、日本社会に大きな悪影響を及ぼすことになると20年以上も前から分かっていた。

少子高齢化のワナに陥ると社会保障費が増大して政府が莫大な借金を抱えることになるというのも分かっていた。しかし、日本人はこの問題に対して先送りと事なかれで対処して、今も何ら解決策を見出していない。

この少子高齢化が続くと、どうなるのか。

地方が壊死し、大学が倒産ドミノに巻き込まれ、3人に1人が高齢者となり、認知症患者が700万人を突破し、介護離職が大量発生し、税金がますます上がって生活が苦しくなる。

やがては東京都も人口減少に入り、優秀な人材が確保できなくなり、経済大国の地位が維持できなくなり、インドにも抜かれていく。

それは予測されている。

しかし、グローバル化で貧困と格差が予測されていたのに止められなかったのと同様に、超少子高齢化によって次々と起きる問題を日本も止められない。

問題が分かっていれば止められると思ったら大間違いだ。やがて来る巨大な災厄が見えてきても、止められないのである。



少子高齢化のワナに陥ると社会保障費が増大して政府が莫大な借金を抱えることになるというのも分かっていた。しかし、日本人はこの問題に対して先送りと事なかれで対処して、今も何ら解決策を見出していない。

「結末」は分かっていても「過程」が分からない


分かっていても止められないと言えば、災害による被害も止められない。巨大台風や巨大地震はいつでも起こり得るのだが、いつ起きるのかは誰にも分からない。

だから、災害を避けるというのは基本的に不可能である。分かっていても必ず大きな被害が発生するのだ。

問題が発生することが分かっていても、問題が発生するまで何もできないのである。

だから、グローバル化が先進国の飢餓人口を深刻化させると分かっていても止められないし、格差が拡大することによって社会が不安定化するというのも止められない。

社会現象として「結末」が分かっていても、私たちはそれに巻き込まれていくしかない状況にある。

不幸なのは、「結末」が分かっていても「過程」が分からないことだ。

それがいつ爆発して現在のシステムを崩壊させるのか、何がきっかけになり、どこで始まるのか、その部分がまったく予測できないのである。

今後、どこかの国が突如として債務不履行(デフォルト)になるかもしれない。資源が暴騰して生活基盤が破壊されるかもしれない。

巨大地震が重要な都市で発生するかもしれない。世界のどこかで要人が暗殺されるかもしれない。9.11並みの大規模なテロが再度起きるかもしれない。

トランプ大統領に不測の事態が起きるかもしれない。先進国のリーダーの誰かが暗殺されるかもしれない。いよいよ東アジアが軍事衝突の舞台になるかもしれない。

あるいは、リーマン・ショック並みの巨大な金融危機も起きるかもしれない。

誰も先を見通すことなどできないので、予測しようと思っても無駄だ。私たちが時代の荒波に巻き込まれる「結末」は分かっていても、どのように巻き込まれるのかという「過程」は分からないからだ。

日本も含め、世の中はどんどん危険になりつつあるが、その中であなたは何を思い、どう生きるのだろうか。



誰も先を見通すことなどできないので、予測しようと思っても無駄だ。私たちが時代の荒波に巻き込まれる「結末」は分かっていても、どのように巻き込まれるのかという「過程」は分からないからだ。



〓 関連記事