2017年10月1日、アメリカのラスベガスで史上最悪の銃乱射事件が発生している。64歳のラスベガス在住のスティーブン・パドックという白人の男が10分以上に渡って銃を乱射した。

スティーブン・パドックは年金生活者用住宅地で暮らしていた、ごく普通の白人男性であったと言われていたが、ここ数日は普通の男ではなかった。

スティーブン・パドックはマンダレイ・ベイ・ホテルの32階に9月28日から部屋を取っており、その数日の間にホテルの部屋にマシンガンを含む10丁近い銃を揃えて大量殺戮の準備をしていたのだった。

折しもこのホテルの道を挟んだ向こう側の屋外のコンサート会場では、「ルート91ハーベスト」というカントリー・ミュージックの3日間のコンサートが開かれていた。

10月1日の午後10時過ぎ、スティーブン・パドックは32階の自室から、銃口をこのフェスティバルの参加者約2万2000人に向けて銃を乱射した。

乾いた銃声が轟いたのだが、フェスティバルの観客たちは当初、それが花火の音だったと思ったという。音楽も続けられており、音楽と銃声がずっと混じり合っていた。


ラスベガスの大量虐殺の動機はまだ分かっていない


しかし、観客が次々と血まみれになって倒れていったところから、観客とスタッフが同時に異変に気づいた。

音楽が止んで歌手が避難、そして観客がパニックになって現場から逃げ出そうとしたり、銃声に伏せたりした。

観客の多くはどこから銃弾が飛んできているのか把握していなかったが、警察はすぐに狙撃者の場所を特定していた。そして、その10分後にはホテルの部屋に特殊部隊SWATがドアを破壊して突入している。

犯人は特殊部隊が突入すると同時に死亡している。自殺だったのか射殺だったのかは情報が錯綜している。

恐らく、特殊部隊もスティーブン・パドックを撃ち、彼自身も自殺するために自分を撃ったのだろう。そのような状況であれば、自殺であったとも射殺であったとも言える。

動機はまだまったく分からない。兄のエリック・パドックはすぐにテレビのインタビューに答えているが、「彼はただの男だった。なぜこんなことになったのか、まったく分からない」と答えて途方に暮れるばかりだった。

スティーブン・パドックのガールフレンドはマリルー・ダンレイという女性だったが、アジア系でフィリピン女性であったという。

フィリピン女性……。

マリルー・ダンレイとスティーブン・パドックがいつどこで知り合ったのか興味のあるところだが、今のところ彼女が何者なのかは分からない。

当初は彼女も銃撃に協力していたのではないかとして重要参考人として手配されていたが今は警察に身柄を拘束されている。マリルー・ダンレイが事件に関わっていたという証拠はまだ見つかっていない。

大量殺戮の動機がまったく分からないまま情報が錯綜する中で、翌日10月2日、中東の超過激武装集団であるISISは、インターネットで「イスラム国の戦士が実行した」「スティーブン・パドックは数ヶ月前にイスラム教に改宗していた」と声明を出している。

本当かどうかは分かっていない。



2017年10月1日、アメリカのラスベガスで史上最悪の銃乱射事件が発生している。64歳のラスベガス在住のスティーブン・パドックという白人の男が10分以上に渡って銃を乱射した。

銃の扱いに慣れる環境は、ネバダ州には揃っている


スティーブン・パドックが数日前からホテルに泊まり込み、大量の銃を準備し、さらに数万人が集まるコンサート会場を標的にしていることからして、これは発作的な思いつきの犯行ではないことが分かる。

コンサート会場に銃を持ち込むのはセキュリティー・チェックで不可能なことを知っており、だからコンサート会場を見下ろせる部屋を確保して、そこまで弾丸が届く銃を用意して大量殺戮に臨んだのだ。

つまり、これは最初から大量殺戮をする計画的犯罪であったことが窺われる。銃が野放しのアメリカだからこそできる大量殺人だった。

ちなみにネバダ州は銃規制の緩やかな州として知られており、砂漠でのシューティング・ゲームや試し撃ちは名物になっているほどだ。

スティーブン・パドックが使ったのはM2ブローニングか、M240機関銃だったのではないかと言われているのだが、こうした軍用銃もアメリカでは平然と売買されている。

スティーブン・パドックが銃の扱いに慣れる環境は、ネバダ州には揃っていたということになる。

ISISは今年の半ば頃に「ラスベガスで無差別テロを起こせ」と扇動していた。

スティーブン・パドックがそれを聞いて暴力に目覚めたのか、それとも何か他に個人的な事情があったのかは分からないが、大量殺戮をしようと考えた時、それが銃によって行われる環境がアメリカにはある。

アメリカでは2016年6月にフロリダ州のナイトクラブで銃乱射事件が起きて49人が犠牲になるという事件が起きていたが、銃が野放しになっているので大量虐殺は毎年起きるのだ。

現在、スティーブン・パドックの起こしたこの事件で、死者は58名、負傷者は515名になっている。

軍用銃の弾丸を浴びて重傷者が多いので死者はもっと増える可能性がある。



これは最初から大量殺戮をする計画的犯罪であったことが窺われる。銃が野放しのアメリカだからこそできる大量殺人だった。

「自分の身は自分で守るしかない」と考える社会


しかし、アメリカは決して銃を捨てることはない。

アメリカという国の成り立ちに銃は欠かせない役割を果たしたからだ。歴史は銃によって築き上げられた。(暴力に怯えるアメリカ人と策略に怯える中国人は因果応報か?

銃はアメリカのアイデンティティであると言われており、多くのアメリカ人が銃を手放さない。

400万人の会員を抱える全米ライフル協会(NRA)の影響力が強いというのもあるのだが、そもそもNRAが支持されているのも、普通のアメリカ人が銃を持つ権利を欲しているからでもある。

これだけ毎年のように乱射事件が起きて犯人とはまったく接点のない人が次々と死んでいく事態になっているのにこの点についてはまったく揺らぎがない。

学校でも銃乱射事件が起きてバラック・オバマ前大統領が銃規制に乗り出したが、それでもアメリカ人は抵抗し、オバマ大統領の銃規制を批判した。銃を持つ人々はオバマ大統領にこのように叫んで抗議していた。

「銃がなければ、いったい誰が私を守ってくれるのか?」

そうなのだ。アメリカ人は、「性善説」をまったく信じていない。「人類みな兄弟」「酒を飲んで話せば分かる」というようなお花畑な空想をまったく信じていない。

自分のまわりにはギャングやチンピラやマフィアやドラッグ依存者や強盗犯や殺人犯がサメのようにうごめいていて、そこに人種対立や宗教対立が重なっている。

そんな社会だから、うかうかしていると自分が殺されると冷静に現実を見ている。

そして、「自分の身は自分で守るしかない」と強く考えており、そのために銃が必要だと考えているのだ。だから、銃規制はいつも失敗しており、これからもアメリカは乱射事件の犠牲者を次々と出す。

ネイティブ・アメリカンの大量殺戮から始まった歴史は、アメリカ人に「大量殺戮はいつでも起きる」という現実を常に突きつけているのである。

だから、次の乱射事件も必ず起きるし、大量殺戮がこれからも続いていく。




現在、スティーブン・パドックの起こしたこの事件で、死者は58名、負傷者は515名になっている。軍用銃の弾丸を浴びて重傷者が多いので死者はもっと増える可能性がある。



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