2017年11月18日、アメリカのハイテン米戦略軍司令官が「トランプ大統領が核攻撃を命令しても、違法と判断すれば従わず別の選択肢を提案する」と発言して物議を醸した。

なぜ、軍がアメリカの最高司令官である大統領の命令に従わない可能性があると公で発言するのかというと、ドナルド・トランプ大統領が差し迫った状況の中で容易に核の先制攻撃を決定すると思われているからだ。

実際、ドナルド・トランプ大統領は「売り言葉に買い言葉」の性格であり、相手が挑発してきたら、その挑発に乗ってより激しくやり合う姿勢を見せる。

つまり、直情的で激情型である。それゆえに、極度の怒りによって後先考えないで核ボタンを押してしまうのではないかと多くのアメリカ人が恐怖を抱いている。

「ドナルド・トランプ大統領は人格障害を持っている」と分析する心理学者もいて、繰り返し繰り返しトランプ大統領の危険性を指摘している。

「トランプ氏は病理学的ナルシズムと政治権力志向とが極端に混ざり合った症状に罹っている」と言ったのはハーバード大学医学部のクレグ・マルキン博士だった。

ここに「第三者を一切信頼しない症状は極度のパラノイア」という症状が加わると、誰の意見も聞かず、誰の忠告も求めず、いきなり核攻撃の命令を軍に下す懸念も充分にあるという結論が生まれる。


ブッシュ大統領も挑発に乗りやすいと罵られていた


ドナルド・トランプ大統領が精神的に異常なのか正常なのかは誰にも分からないところだが、激情型であるというのは客観的に見て正しい分析ではある。

だから「緊張が高まれば、容易に敵国を核攻撃をしかねない」というのは、リベラル派の新聞社のデマや世論誘導とばかり言えない側面もある。

「トランプ大統領ならやる」というアメリカ人の心配は、実は前例がある。それがオバマ大統領の前のジョージ・ブッシュ第43代大統領の存在である。

ブッシュ大統領も、挑発に乗りやすい好戦的な人物で「大統領に適していない」とさんざん言われて来た。

2001年に同時多発テロ事件が起きて、翌月にはアフガニスタンを攻撃しているのだが、この攻撃についてはアメリカではコンセンサスができていた。

しかし、2003年のイラク攻撃については、フセイン大統領に対する個人的な嫌悪から始めた戦争で、アメリカ国民は「ブッシュの戦争に巻き込まれた」と感じていた。

「イラクには大量破壊兵器がある」とブッシュ大統領は言っていたのだが、結局は今に至ってもその大量破壊兵器は見つからなかった。先制攻撃の理由はなかった。

しかし、もう戦争は「ブッシュ大統領の独断」で始まっており、アメリカはテロと戦うという大義でこの戦争の泥沼に引きずりこまれて大量の国富を失った。

2008年9月15日に起きたリーマンショックは、単に不動産バブルの崩壊だけでなく、こうしたアメリカの無駄な戦争が遠因だったと分析する人も多い。

ブッシュ大統領は「挑発に乗りやすく、好戦的で、思慮が浅く、だからアメリカを中東の戦争に引きずり込んだ最悪の大統領だった」と言われ、アメリカ人は思慮深く気高いバラック・オバマ氏に望みを託したのだった。




ジョージ・ブッシュ。「挑発に乗りやすく、好戦的で、思慮が浅く、だからアメリカを中東の戦争に引きずり込んだ最悪の大統領だった」と言われた。トランプが登場するまでは……。

核攻撃を軍に命令した時、それは実行される


世界は、「ジョージ・ブッシュ前大統領みたいな挑発に乗りやすい好戦的な人物が大統領に選ばれることは、もう二度とない」と漠然と考えていたが現実は想像を超えていた。

オバマ大統領の次はヒラリー・クリントンが新しい大統領に選ばれると誰もが思っていたが、アメリカ人はドナルド・トランプを選んだのである。

大統領選挙から激しく他人を攻撃し、嘲笑し、罵倒するこの品位のない男がまさか大統領に選ばれるとは、その当日まで誰も思っていなかった。

大統領選挙時、「こんな好戦的な人間を選んだら世界は終わる」と誰もが言っていたが、そんなキワモノ扱いされていた人間がよりによって大統領の座に駆け上がっていったのだ。

ヒラリー・クリントンは大統領戦の時から「こんな人物に核のボタンを持たせていいのか?」と叫んでいたが、今まさに歴代大統領の中では類を見ないほど好戦的な大統領が「核ボタン」を握っている。

アメリカは約900発の核弾頭を配備しており、ドナルド・トランプがその気になれば、それはいつでも発射できる態勢になっているのである。

実際問題として、ドナルド・トランプは独断でいつでも核ミサイルを使用できるのだろうか。

ハイテン米戦略軍司令官は「大統領が核攻撃を命令しても、違法と判断すれば従わず別の選択肢を提案する」と言う。

しかし、詳細な状況がなく正確な判断ができない差し迫った状況の中で、上官の命令は絶対服従を訓練されている現場の兵士が自らの意志で大統領命令を拒絶することはできるのか。

場合によっては、大統領命令を現場で無視することによって、アメリカが被害を受ける可能性もある。そんな中で、「核兵器は使いたくない」というだけで、アメリカ大統領の命令を拒絶することは可能なのか。

それは、現実問題として非常に難しいのではないかというのが軍縮管理協会キングストン・ライフ氏の判断だ。つまり、ドナルド・トランプ大統領が激情に駆られて核攻撃を軍に命令した時、それは速やかに実行される可能性が高い。



ドナルド・トランプ大統領が激情に駆られて核攻撃を軍に命令した時、それは速やかに実行される可能性が高い。

絶対に核が使われないとは誰にも言えないのが現実


1945年8月6日と9日、日本の広島と長崎はアメリカに核ミサイルを落とされて、合わせて約40万人もの人たちが「一瞬」にして火の海の中で死んでいった。(広島(2)原爆ドーム。8月6日の地獄は過去なのか?

一瞬の高熱で骨すらも残らずに消え、吹き飛ばされ、爆心地から500メートルの範囲にいた人間は99%が死亡した。

核爆弾の火球の温度は数万度、熱線は太陽の数千倍に相当するものである。

この地獄の業火が爆心地を焼き尽くし、現場から1キロ離れた地点にいた人も皮膚が高熱で垂れ下がり、衝撃で眼球が飛び出すほどの惨状と化した。

この凄まじい破壊と暴力に「これを恒常的に使ったら人類は終わりだ」と蒼白になり、以後、核兵器は70年以上に渡って封印されてきた。

しかし封印されてきたのは、いずれ「封印が解けた」としても不思議ではない。

「戦争を一気に終わらせるために必要だ」とか「自国が被害を受けないためには先制攻撃しなければならない」という理論は、いずれ人類が長きに渡って固く縛ってきた封印を解く可能性がある。

ドナルド・トランプ大統領が封印を解く人物になるのかもしれないし、あるいはどこかの気の狂った独裁者がそれをするかもしれない。

世界情勢は常に予測を超えた動きをするので、起きると思ったことは起きず、起きないと思ったことが起きる。「トランプ大統領が核攻撃の判断を下すのは想定外だ」と考えるのは楽観的すぎる。

あまりにも重大な判断なので、さすがにトランプ大統領でさえも核の使用はためらうかもしれないが、だからと言って絶対に核が使われないとは誰にも言えない。

私たちは自分たちが生きている間に、次の核戦争を目撃したとしても何ら不思議ではない状況にきている。私たちは地獄を目撃する準備はできているだろうか?



核爆弾の火球の温度は数万度、熱線は太陽の数千倍に相当するものである。この地獄の業火が爆心地を焼き尽くし、現場から1キロ離れた地点にいた人も皮膚が高熱で垂れ下がり、衝撃で眼球が飛び出すほどの惨状と化した。




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