家庭の内側で起きる暴力、すなわちDV(ドメスティック・バイオレンス)で、警察に寄せられた相談はうなぎ上りに増えている。

最新の2016年は通報を受けた件数は6368件になることが確認されている。暴行によって摘発された件数は4409件、傷害は2991件、家庭裁判所が接近禁止などの保護命令を出したのは2143件だった。

警察に相談するまでに至るのはDVの中でも非常に深刻になっているケースが多く、そこまで至らないものは依然として泣き寝入りの状態になっていると女性保護のケースワーカーは口を揃える。

なぜ「泣き寝入りが多い」と分かるのか。警察に通報されたケースは6368件だが、配偶者暴力相談支援センターにおける「配偶者からの暴力が関係する相談件数等の結果」では、その件数が10万6367件になっているからだ。

つまり、警察沙汰になっているのは全体の約6%程度である。さらに相談支援センターにも連絡せずに暴力に耐えている被害者もいるわけで、そうした数を入れるとDVの被害は相当な数になるというのが分かる。

それにしても、身内からの暴力が分かっているだけでも10万6367件もあるというのは、惨憺たる現実ではある。暴力犯罪が少ないと言われている日本でも家庭内で心身の暴力が吹き荒れている。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

「誰とでも仲良く」を真に受けると馬鹿を見る


近年は男の方が被害者になるケースも増えているのも特徴的だが、DVはそのほとんどは被害者が女性である。依然として女性は暴力の支配下に置かれることになる。

DV(家庭内暴力)の相談で最も多い年代は30代、次に40代、そして20代である。まだ男女平等が社会に浸透していなかった50代、60代、70代でのDV相談は少ない。

つまり、現在の日本のDVは「男女平等の意識が浸透している世代」「人権は大切と教育を受けた世代」で起きているというのが分かる。

どんな教育を受けていようが、人間の本質の部分では変わらない。暴力はどこでも噴出する。

DVを受けないためにはどうすればいいのか。最もいいのは最初からDVを振るうような傾向のある人間を遠ざけておくことであるのは言うまでもない。

トラブルが次から次へと起きるのをひとつひとつ対処するよりも、最初から関わらないというのが最大にして最高の解決方法なのである。とても、単純なことだ。

別に誰とでも仲良くする必要はないし、自分の人生に悪影響を及ぼすのであれば、関係を深めるのは間違っている。

被害を受ける前に、最初から徹底的に関わらない。

なぜ、こんな簡単なことができないのかというと、今の教育は「誰とでも仲良く」という指導を徹底しているからだと言える。「どんな人とでも話せば分かる」と現実無視の誤った教育を施している。

人間の気質や考え方や立場は多種多様であり、犯罪者でなくても自分とはまったく合わない人間も数多くいる。あらゆる点で生きている世界が違う人間がいる。

当然だが、仲良くできない人も存在するし、最初から仲良くする価値もない人もいる。しかし、教育や教師の立場上、殺伐とした「現実」を教えるわけにはいかない。教育上、建前しか教えられないのだ。

「誰とでも仲良く」と教育を受けても、「それは現実的ではない」と気付けばいいが、それに気付かないで素直に誰とでも仲良くして、闇を抱えた自己中心的な人間に取り込まれる人もいるのだ。

生命の危機にまで追い込まれるまで逃げられない


世の中には絶対に付き合ってはいけない性格・気質を持った人間がいる。

何かあればすぐにカネをねだるとか、弱い者に強く当たるとか、外見ばかりを気にするとか、いつまでも怒りが消えないとか、そうした性格や気質の人間である。(絶対に付き合ってはいけない性格・気質を持った人間20項目

最初の段階でそこに気付いたら、確実に逃げておかなければならない。

人間だから誰にでも1つや2つは良い面もあるかもしれない。「あの人は優しい面もあるんですよ」とDVを受けている女性は言う。「あの人は素晴らしい才能を持っている」とDVを隠す友人もいたりする。

激しい家庭内暴力を振るった後は、一転してひどく優しくなって尽くす男もいる。一時的にだが、まるでハネムーン期に戻ったかのように優しくなる。

しかし、致命的なまでの性格的欠陥を抱えている人間と深みに入れば、確実に自分の人生が破壊される。

ズルズルと付き合うと問題が深刻化する。間違えて結婚してしまうと取り返しがつかないことになる。相手の圧倒的な支配感の中で、逃げ出せなくなってしまう。

DVを受けている人が被害を受けてもすぐに逃げられないのは、暴力によって支配されており、そこから抜け出せなくなってしまっているからなのだ。

深い関係ができた後に逃げ出すというのは思ったよりも難しい。危険も倍加する。目の前の危険を避けるために、一生逃げられないで惨めな人生を過ごす人すらもいる。

「誰とでも仲良く」などすぐに忘れて、危険な人間とは絶対に深入りしないというのは、最初の段階でやっておく必要があるのは、そのような理由からである。

ただ、本当の悪人であればあるほど表面(おもてづら)を隠すのがうまいし、私たちはいつでも他人を完璧に見抜けるわけでもない。

また人間というのは、環境によって性格まで変わってしまうこともある。優しかった人が、何らかのきっかけで別人のように凶悪になることもある。



深い関係ができた後に逃げ出すというのは思ったよりも難しい。危険も倍加する。「誰とでも仲良く」などすぐに忘れて、危険な人間とは絶対に深入りしないのが重要だ。

暴力から逃れ、そして平穏な日常を取り戻す


まじめな人がギャンブル依存症になったり、アルコール依存症になったり、悪い世界に入り浸ったり悪い人間たちと付き合うようになって人が変わることもあり得る。

相手が悪い方向に変わって恒常的に被害が続くようになってしまったのであれば、相手が良い方向に変わるのを期待して祈るよりも、自分にできることをした方がいい。決断は早ければ早いほどいい。

激しい暴言が渦巻き、怒鳴り散らし、威嚇し、無視し、手を上げてくるような世界が日常になれば、もはや相手を変わることを望むよりも逃げ出すべきなのだ。

暴力で支配された世界から逃げ出すのは危険であるのは、DVから逃げ出した女性が、しばしば付け回され、探され、場合によっては殺されてしまうこともあるのを見ても分かる。

「逃げ出したら何をされるのか分からない」というのは、誰にとっても恐怖だ。さらに女性を逃げられなくしているのは経済的不安もあるからだ。

子供がいれば女性は子供を連れて一緒に逃げる。しかし、逃げたら今度は極貧が自分の生活を暴力的に襲いかかってくることになる。

DVから逃げ回り、疲れ果てた後に子供と死んでしまった事件もあった。(最後にもっとおいしいもの食べさせてあげられなくてごめんね

しかし、DVを受けているのであれば、一刻も早く逃げ出すしかないのである。そこから逃れない限り、基本的に問題は解決しないからだ。

DVの相談を受けてくれる機関は増えた。シェルター(保護施設)もある。

親兄弟をあてにするよりも、公共の専門施設に相談した方が早い。親兄弟はDVを隠蔽し、相手の肩を持つことも多く、第三者のように問題を客観的に見ることができない。

DVから逃れるには、専門のセンターを通すのが最も早いのは間違いない。圧倒的な暴力から逃れるためには、いつでも逃げ出すのが正解だ。

暴力から逃れ、そして平穏な日常を取り戻す。平穏な日常は、まずは現実が「邪悪な世界」であることを認識し、現実主義者となって生きることから始まる。

暴力は世の中に満ち溢れている。暴力は消えることがない。それが現実である。相手が誰であっても関係ない。自分にとって有害であれば、それは断ち切るべき存在でしかない。(written by 鈴木傾城)


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暴力から逃れ、そして平穏な日常を取り戻す。平穏な日常は、まずは現実が「邪悪な世界」であることを認識し、現実主義者となって生きることから始まる。



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