人類は、食糧を大量に供給するために、プランテーションを作り、ブロイラー工場を作り、養殖システムを開発してきた。

しかし、それでも需要をまかない切れなくなっており、効率化を加速させるために「禁じ手」まで使って食糧生産をまかなおうとしている。

食糧生産を増やすための「禁じ手」は様々なものがある。たとえば、遺伝子組み換え作物はよく知られているものだ。

これは、超大規模農業を維持するために、とにかく無駄を省き、効率的に農作物を作り出すという観点から産み出された科学である。

普通、農業では種を撒いただけで仕事は終わらず、雑草むしりや害虫の駆除を毎日のように行って、狙った作物だけが育つようにしなければならない。それは非常に手間であり、コストもかかる。

そこで、雑草も害虫も皆殺しにする農薬を開発し、その農薬で死なない作物を遺伝子組み換えで産み出して育てれば「効率的」に農業が維持できる。それで巨大な収益を上げていたのが「モンサント」だった。

遺伝子組み換え作物は、今も大きな問題をはらんでいる。(ダークネス:問題なかったはずの小麦でさえも、危険なものになった理由)(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

大量の「抗生物質」や「成長ホルモン」が含まれる


アジアにおける魚介類の最大の養殖大陸は中国だが、中国では養殖産業で利益を上げるために、狭いところで大量の魚を養殖する。

コスト削減のために水も替えないので、非常に汚染された水の中で魚を育てるのだが、そのままにしておくと魚は次々と病気で死ぬ。

だから、水の中に大量の抗生物質を投げ込み、さらに「効率的」に育てるためにエストロゲン等のホルモン剤を養殖魚に与えている。

エストロゲンは女性ホルモンの一種で、これを与えると生物が早く、大きく育つので、養殖には欠かせないものになっている。

もはや私たちの食べているものは、「自然に育ったものを採って売る」というやり方ではまったく追いつかない。

だから、禁じ手を使おうが何をしようが、とにかく「低コスト」で「効率的」に食糧を作ることが暗黙の了解となっており、それが世界人口74億人を支える基盤になっている。

「そうやって、食糧がまかなえるのならいいことだ」
「他に方法がないのだから、仕方がない。必要悪だ」

そのような割り切った声も生産者側にはある。

また、この問題を是正させると、結果的には世界的飢餓が発生するかもしれないので、消費側も見て見ぬふりをしている。

そこで何が起きているのか。

禁じ手で生産された食糧が大量に出回ることになって、「抗生物質」や「成長ホルモン」が大量に含まれた、有害な食糧が圧倒的に増えてしまった。

「魚を食べると健康になる」というのは、天然魚の話をしているのであって、中国の養殖魚を食べて健康になれると思う人がいたらどうかしている。

エストロゲンで無理やり成長させられた養殖魚を食べたらどうなるのだろうか。魚に含まれている女性ホルモンは、そのまま人体に取り込まれていく。



「魚を食べると健康になる」というのは、天然魚の話をしているのであって、中国の養殖魚を食べて健康になれると思う人がいたらどうかしている。

『メス化する自然―環境ホルモン汚染の恐怖』


BBC放送の科学担当プロデューサーだったデボラ・キャドバリーは、『メス化する自然―環境ホルモン汚染の恐怖』という書籍の中で、現代社会の生物全体が大量のエストロゲンの蔓延によって「メス化」している事実を明らかにしている。

狭いところで大量の魚を養殖していくと、魚はどんどんメス化していく。

それはメスの尿には大量のエストロゲンが含まれており、それが取り込まれると、女性ホルモンを取り込んだのと同じになるからである。

養殖産業は、そこにエストロゲンをさらにまき散らして無理やり魚を成長させようとする。

中国では養殖魚にエストロゲンを使っているので、たとえば中国産のウナギにも大量のエストロゲンが含まれている。

だから、こういったエストロゲンが大量に含まれた食品を取ると、メスがよりメス化していく。人間で言うと、少女の女性としての発達が急激に促進されていく。

具体的には、胸がどんどん成長して巨乳になっていったり、初潮が低年齢化したり、性的早熟が早まっていく。

社会的な常識や判断力がつく前に、身体だけが成長して性的な活動が活発化していく。

少女の性的な活動は、往々にして出会い系による援助交際という名の売春や、未成年を雇う裏風俗として社会問題化していくのだが、その原因としてエストロゲンまで思いを馳せる人はほとんどいない。

アメリカではどうか。アメリカでは、やはり食肉の牛を早く成長させるためにエストロゲンを使っている。

大量の食牛を消費するアメリカで、子供たちが性的早熟が多くなっているのは、牛に含まれているエストロゲンが原因なのではないかとはもう10年以上も前から言われている。

さらに、このエストロゲンに似た「環境ホルモン」と呼ばれる化学物質が殺虫剤にもプラスチックにも含まれて、生物の体内で「内分泌撹乱物質」として働くことも分かっている。



養殖産業は、そこにエストロゲンをさらにまき散らして無理やり魚を成長させようとする。中国では養殖魚にエストロゲンを使っているので、たとえば中国産のウナギにも大量のエストロゲンが含まれている。

需要を満たすため、供給を止めるわけにはいかない


『メス化する自然―環境ホルモン汚染の恐怖』では、フロリダ州のある湖で見つかった雄のワニの多くに生殖器異常があった事実を冒頭で紹介している。

雄のワニのペニスが短小であったり、ペニスそのものがなかったのである。この湖はかつて殺虫剤「DDT」の原液が垂れ流しになっていた湖だった。「内分泌撹乱物質」として機能するDDTが原因だったのだ。

人間の少年もまたエストロゲンに似た内分泌撹乱物質を摂取し続けると、体内でエストロゲンが過剰になり、その結果としてペニスが短小になったり、性同一性障害が引き起こされる。

要するに、心も身体も「女性化」していく。

全世界の男たちから精子の減少が見られており、行動的にも性に活発でなくなっている。それは「草食化している」と表現されるようになっている。この草食化は「内分泌撹乱物質」の大量流入と無関係なのか。

セクシャルマイノリティであるLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)の存在が顕在化されているのだが、こうした現象と「内分泌撹乱物質」の大量流入は無関係なのか。

また日本では乳癌が30年で3倍に増えているのだが、大人の女性がエストロゲンを過剰摂取すると、ホルモンバランスが崩れていき、乳癌や子宮癌を増やすことも知られている。乳癌の増加と「内分泌撹乱物質」の大量流入は無関係なのか。

自然ではない育て方をした食糧が人間の体内に摂取されて、人間もまた自然ではない身体になっているのではないか。

私たちもまたエストロゲンの脅威から逃れられない。爆発する世界人口に対処するために、化学物質がばらまかれ、それが私たちの身体の中に取り込まれていく。

人類は増え続ける世界人口を養うため、「抗生物質を大量に使う」とか「成長ホルモンを大量に使う」とか「生産植物の遺伝子を勝手に変える」等の、ありとあらゆる禁じ手に手を出している。

増え続ける需要を満たすため、供給を止めるわけにはいかない。だから、汚染が暴走して止まらない。そんな中で、私たちの人生は育まれている。(written by 鈴木傾城)


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内分泌撹乱物質でメス化していくワニの存在もある。私たちもまたエストロゲンの脅威から逃れられない。爆発する世界人口に対処するために、化学物質がばらまかれ、それが私たちの身体の中に取り込まれていく。


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