恩を仇で返す人間が世の中にはいる。普通は、自分を助けてくれた人、優しくしてくれた人、不遇を救ってくれた人がいたら、大切にしようと思うはずだ。

あるいは、間違った生き方をしていた自分を更生してくれて、正しい道に引き戻してくれた人がいたら、大きな感謝を感じるはずだ。

ところが、恩を仇で返す人間は、自分を助けてくれた人間を破滅させたり、叩き落としたり、殺したりする。普通の人は理解不能だ。いったい、なぜこんなことになるのか。

その心理は難しくない。自己中心的で虚栄心の塊の人間は、苦境から脱すると、過去の自分の惨めな姿を知っている人間が邪魔に感じるのである。そして、このように思うのだ。

「自分の過去を知る奴は……、死ね」

自分の過去を知っている人間がいなくなったら、いくらでも過去を「脚色」できる。自分の都合の良いように自分の半生を書き換えることができる。

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