最近、「オウム真理教はマインドコントロールや洗脳という形での信仰はなかった」とか「不殺生の教団だった」とか、オウム真理教に関しての凶悪な面を払拭させようとして、麻原彰晃の死刑を無効にしようとする動きが活発化している。

しかし、オウム真理教は地下鉄サリン事件で実際に多くの日本人を被害者にした極悪なテロ集団であり、教団内にはAK74から爆薬までを所持し、核兵器まで手に入れようとしていた。

オウム真理教と言えば、地下鉄サリン事件で有名になったので、サリンだけを作っていたと思われている。しかし、実はそうではない。

VXガス、青酸ガス、ホスゲン、イペリットガス、炭疽菌、赤痢菌等、いろんな毒物を研究して実際にそれらを製造してその一部は使われていた。

このオウム真理教も「ある毒物」にたどり着いている。その毒物は非常に危険で、青酸カリの20万倍の毒性を持っているという信じられないほど恐ろしいものだった。

青酸カリの20万倍も強力な毒物と言えば、それが尋常なものではないことは誰でも想像ができる。

もしオウム真理教がそれを効率的に量産して大量にばらまく方法を見つけ出していたら、日本人は全滅していたというほど恐ろしいものだった。その極悪な毒物とは「ボツリヌス毒素」である。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

「0.00006ミリグラム」で、人間ひとりを殺す凶悪さ


ボツリヌス毒素がどれくらい危険なのか。それは「0.00006ミリグラム」で人間ひとりを殺すことができる。それだけで、体重60キロの人間なら確実に死ぬ。

1グラムでも1ミリグラムでもない。もはや人間の目に見えないような0.00006ミリグラムで人間がひとり死ぬのである。

理論的に言えば、1グラムあれば1000万人を殺すことができる。日本人を皆殺しにするのであれば、12グラムあればいいということになる。それが「ボツリヌス毒素」である。

ボツリヌスはボツリヌス菌というものが介在する毒なのだが、このボツリヌスは実はどこにでもいる至極ありふれた菌なのである。食中毒の元になる菌のひとつだ。

ボツリヌス毒素は神経毒である。

ボツリヌスが神経に取り込まれると、舌がもつれ、徐々に見えなくなり、手足が麻痺し、呼吸ができなくなり、それによって死んでしまう。しかし、意識は最後まである。

筋肉は麻痺するのに、神経は麻痺していないので、自分が死んでいくのをリアルに感じながら死ぬ。

まさか、ありふれた食中毒のひとつが、世界最強の毒だとは思いもしないはずだ。しかし、それは事実だ。

さらに悪いニュースがある。

2013年には、これまでのボツリヌス菌の毒素をはるかに上回るより危険な「ボツリヌス菌h型毒素」が発見されたのだ。

ボツリヌス菌h型毒素は、悪用されないようにするためにすべてが極秘扱いで論文も公表されることはない。h型の抗毒素はまだ発見されていないので、下手に公表してテロリストが量産すれば、人類は絶滅する。

ボツリヌス菌h型の化学兵器は実用化できるが、抗毒素がない以上うまく扱わないと使う側も一緒に絶滅する。

調理してから日をおいた食べ物は、想像以上に危険


通常のボツリヌス菌は泥や土の中に潜んでいる。よく手を洗わないで調理をしたとき、このボツリヌス菌が食べ物に移って、そこで広がっていく。

ボツリヌス菌が好むのは肉や魚だ。肉や魚を調理して時間を置いていると、その肉の中でどんどん菌が増えていく。

だから、作ったあと時間を置いてから食べるハムやソーセージは正しく管理されないと危険であり、ヨーロッパではいまだにハム・ソーセージで食中毒による死亡事故が起きている。ボツリヌス菌にやられて死んでいるのである。

もちろん、肉類だけでなく、野菜にも缶詰にも付着して菌が繁殖していくので、調理してから日をおいた食べ物は、想像以上に危険なものであるということが分かる。

ではボツリヌス菌を避ける方法はあるのか。

もちろん、ある。見た目では分からないかもしれないが臭いで分かる。ボツリヌス菌が繁殖した食品は、独特の臭いがある。それは「腐った臭い」である。

腐りかけている食品は、それこそ誰も食べようとしないし、本能が拒否する。いつ作られたのか分からない、不快な腐った臭いがするものは「絶対に」食べてはいけないのだ。

なぜ腐った臭いに人間がここまで拒絶反応を起こすのか。

それは、長い人類の歴史の中で、それを食べたら危険だというのが遺伝子レベルで刻み込まれたからである。

人間が心地よく感じるものも人間が不快に感じるものも、すべて本能によって組み込まれている。

「腐ったものは絶対に食べたくない」
「腐ったものの臭いはたまらない」

そのように、誰もが腐ったものを拒絶するというのは、まぎれもなく「生き残るための本能」だった。ボツリヌス菌に取り付かれた食品が危険であるというのを臭いで本能が知らせてくれているのである。

オウム真理教は、このボツリヌス菌をばらまく細菌兵器を研究していた。その細菌兵器が開発に成功していたら、私たちは腐った臭いの中で絶滅していた。

私は生(なま)の料理をいっさい食べなくなった


ちなみに、鈴木傾城は多くの日本人がごく普通に食べている刺身料理をいっさい食べない。刺身だけでなく、生に近い料理は口にしなくなった。

二十歳以前まではそうしたものを普通に食べていたので、それが美味しいとか食の醍醐味であるというのは、いちいち言われなくても分かっている。

だが、東南アジアに沈没するようになってから、生(なま)の料理をいっさい食べなくなった。

私は同じ安宿にいたある顔見知りだった日本人が、食中毒で部屋の中で嘔吐し、糞尿を垂れ流しながらのたうち回って痙攣しているのを見た。(ブラックアジア:サルモネラ菌。ありふれた食中毒なのに、症状は劇症だった

後でそれが食中毒だったというのが分かったが、それにしても食中毒というのはこれほどまで恐ろしい症状になるのかと驚愕した。

「食中毒で人が苦しむ」というのは、実際に現場を見たことがない人は想像もできないと思うが、本当に修羅場だ。理屈ではないリアルな危機感が私に刻まれた。確かにこれでは死者が出てもおかしくない。

旅の途上で一匹狼の自分がこのような症状に見舞われたら誰も助けてくれないと感じて、以後は自己防衛のために生や生に近いものを食べないようになって今に至っている。

確かに、それを食べることで食の広がりや喜びは満たせるのかもしれないが、私は見知らぬ土地で自分の身体を守る方を優先する選択をした。

貧困地帯やスラムは、ただでさえリスクが高い地区だ。

さらに途上国の多くは、生でなくても食べていいのかどうか不安があるような不衛生な食べ物も多い。生のものを食べなくてもリスクはある。

現地でそういったものも食べる以上、逆に生の料理を食べないことでリスクを下げるに越したことはない。

サルモネラ菌でさえこうなのだから、ボツリヌス菌などに遭遇した日には大変なことになる。オウム真理教がボツリヌス菌のテロまで仕掛けなかったのは日本人には幸運だった。(written by 鈴木傾城)

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もしオウム真理教が「ボツリヌス毒素」を効率的に量産して大量にばらまく方法を見つけ出していたら、日本人は全滅していた。



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