私のまわりは3種類の男に分かれていた。1つはまったく格好に頓着せずボロを着て平然としている男。別の1つはやたらと格好にこだわって派手も奇抜も厭わない男。

そしてもう1つはそのどちらにも属さず、ごく普通の格好をしている男だ。

私は今までまったく自分の格好にこだわったことがなかったのだが、あまりにも格好が惨めだとまわりが相手にしてくれないので避けた。逆にあまりにも格好を飾るのも金がかかる上に金目当ての人間が寄りつくので避けた。

つまり、私は「普通の格好」を意図的に選択した。今でもその傾向は変わっていない。

私にとって服装とはサイズが合って常識的なものであればそれで充分だった。それ以外のものを着ようと思ったことは一度もない。

ブランドにこだわったこともなければ、奇抜な格好、派手な格好、目立つ格好をしたいと思ったこともない。客観的に見ると、私は自分の外観には関心がないタイプであると言える。

私の長年に渡る傾向は恐らくこれからも変わらないし、無理しても必ず元の「普通」に戻ってしまうだろう。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

年齢がいけば、格好をつけた方が健康に良い?


面白い話がある。生活習慣病の第一人者である医学博士・岡部クリニック院長の岡部正氏は「年齢がいけばいくほど格好をつけた方が健康に良い」というのだ。

なぜか。

日本人の健康寿命を奪うのは生活習慣病だ。生活習慣病とは「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」を指す。

具体的な疾患としては、糖尿病、肥満症、高脂血症、高血圧症、大腸がん、歯周病などがある。

ところで、これらの生活習慣病に向かいつつあるというサインは何かと言うと「肥満」である。

太っていくことによって、運動不足になり、運動不足がますます肥満を進行させ、それが高脂血症、高血圧症を引き起こし、糖尿病や心臓病に至るということなのだ。

そうであれば、肥満を防がなければならない。

ところでこの肥満だが、中年すぎて肥満になる人は子供の頃からずっと太っていたわけではなく、「ある時点」から太り始めて止まらなくなった人がほとんどである。

多くは、年齢がいけばいくほど食べ過ぎやストレスや運動不足が重なって太り始める。最初は「痩せないと……」と抵抗する。しかし、ある時点でうまくいかなくなってあきらめ「太る自分を許してしまった」と岡部正氏は言う。

「太っていく自分を、どうでもいい」と思ってしまうことで、肥満は恒常化し、進行し、やがて生活習慣病を引き寄せてしまうことになる。

だから、痩せなければならない。痩せるには意志の力が必要だが、この意志の力を発揮するのに「健康のため」ではなかなか続かない。だから、岡部正氏は提唱する。

「格好いい自分になろう」と意識すべきだ、と。「年齢がいけばいくほど格好をつけた方が健康に良い」というのは、そういう意味で言っているのだった。

健康寿命を考えると、適正体重を選ぶのは合理的


年齢がいけばいくほど体力は落ちる。体力が落ちれば運動量が減っていく。運動量が減るとますます体力が落ちていく。そうなると完全に運動から遠ざかる。

じっと座っているというのは「何かを食べやすい環境」である。だから運動量が減っている人に限って食べ過ぎる習慣ができる。そこにストレスが加わっていると、アルコールやタバコが加わる人も多い。

だから、程度の差こそあれ、ほとんどの人は30代40代を過ぎると肥満になっていく。腹部に脂肪がつき、ウエストが増え始め、スタイルが崩れていく。一般的にそれは「格好いい」姿ではないのは確かだ。

格好が悪いだけで実害がないのであれば、別に見栄えがどう変わろうが構わないのかもしれない。

しかし、それがあらゆる生活習慣病を引き起こす元凶になっていくわけで、先々の健康寿命を考えると「適正体重」を選ぶのは合理的な選択だ。

極度に太るのも、極度に痩せるのも、問題が発生する。体重にも「常識の範囲」が必要だ。これは、30代を過ぎた人間は全員が考えなければならないことであり、実践しなければならないことでもある。

私自身は自分の寿命はだいたい74歳くらいでいいと考えているのだが、健康年齢はなるべく長い方がいいと至極当然のことを願う。

老齢期に寝たきりで10年以上も過ごすのは望んでいない。松尾芭蕉のように旅の途上で客死するくらいの体力が欲しい。そうであれば、私は今から「普通でありたい」の「普通」の定義を変えなければならないということに気付いた。

若い頃、私は「普通の格好をしたい」と思ってそれを守ってきたのだが、これからは「普通の格好」を意識するのではなく「普通の体重=適正体重」を意識する方向に転換すべきだということだ。

年齢がいくと、この適正体重の範囲を守るのが難しくなっていく。だから、それは強く意識しなければならないということでもある。

ロックの異端児は、正しい生き方をしているのか?


多くの人たちは、若い頃はとびきり外観に気をつけて異性を意識していたのに、中年を過ぎてから「もう、どうでもよくなった」と外観に構わなくなっている。

これは男も女も変わりない。年齢がいくと「もう、どうでもいい」と何もかも放棄する人が増えるのが現実だ。

多くの人は配偶者やパートナーがあり、今さら他の異性を惹きつける必要はなくなっている。加えて、生活に関する重圧も大きい。外観を飾る精神的な余裕もなくなっている。

おまけに誰も指摘しないのだが、資本主義の論理そのものも肥満を加速させるシステムになっている。(ブラックアジア:貧困層が食べまくる体質になると、多国籍企業が利益を得る

そこに体力の低下や運動不足が重なり、過食が徐々に習慣化して複合的に肥満が加速していくことになる。だから、「もう、どうでもいい」ということになっていく。

しかし、それが健康を失って長い寝たきりを強いられる確率を高めてしまうのであれば誰もが考えてしまうはずだ。生活習慣病は即死になることはない。長くつらい病気期間を味わいながら人生の後半を迎えるパターンだ。

だから、年齢がいけばいくほど逆に「見栄えなんかどうでもいい」と思っていけなかったのだ。

「格好をつける」路線の方に向かって適正体重に収まるように努力し、外観を飾って異性を惹きつける路線の方が、自分の人生のためになる。

特に50歳以上の年齢の人はそれで健康が維持できるのだから、外観に対する美意識は持っていた方が長い目で見ると健康寿命を上げられる。

「年齢もある程度いけば外観に美意識を持つ理由は減って当然だ」「歳を取っても格好をつけているのはみっともないのではないか?」と言うのを聞いて私は頷いていたこともある。

間違っていた。

健康寿命の観点から見るとむしろ年齢がいけばいくほど「格好をつける」路線の方が得られるものが大きかった。

「寝たきりになりたくない? それならば年齢がいけばいくほど格好をつける路線に変更しろ」が正解だった。格好をつけるためには痩せなければならない。痩せると健康になる。健康になると異性を惹きつける。悪い話ではない。

ふと、イギー・ポップを思い出した。今年70歳になるロックの異端児は、案外、正しい生き方をしているのかもしれない。(written by 鈴木傾城)

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イギー・ポップ。「寝たきりになりたくない? それならば年齢がいけばいくほど格好をつける路線に変更しろ」が正解だった。格好をつけるためには痩せなければならない。痩せると健康になる。健康になると異性を惹きつける。悪い話ではない。イギー・ポップは正しかったのか?



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